今回は女性コミック雑誌「feel young」(フィーヤン)に連載されていた人気おすすめ作品を紹介していきます!
20代、30代の読者が多い印象のフィーヤン漫画ですが、個人的にはTHE・女性漫画といった作品が多い様に感じます。
作品の内容も甘ったるすぎず、ドロドロしすぎていない、丁度いい雰囲気のストーリーとなっています!
女性漫画ならではの細やかで繊細な心理描写が癖になります。
【FEEL YOUNG】フィーヤン連載の人気おすすめ漫画13選
後ハッピーマニア
恋の暴走機関車重田カヨコ再来
1990年代に流行った「ハッピーマニア」の続編です。ドラマにもなり稲森いずみさんと藤原紀香さんが主演でした。ヤッタ後に考えるという恋の行動派重田加代子が次々に恋を追いかけ結局自分の事を大好きな真面目なタカハシと結婚したところで終わっていました。「後ハッピーマニア」はその15年後のカヨコ45歳の話です。自分にゾッコンだったタカハシに「好きな人が出来たから別れてほしい」とまさかの離婚を突きつけられる場面から始まります。カヨコは始め抵抗しますがタカハシの好きな人への態度を見ていたらアホらしくなって行きます。第1巻はそんな夫に見切りをつけ再び恋の旅(?)へ旅立つ所まで描かれています。
「ハッピーマニア」から20年程経ちましたが今でも鮮明に覚えている作品です。当時色々参考にしました。私の恋愛バイブルでした。まさか続編が読めるなんて思っていなかったので嬉しい限りです。カヨコや福ちゃんの大人になった顔が何とも絶妙な感じに描かれています。中身は相変わらずというか2人のするどいボケやツッコミは健在です。前作からだいぶ時が流れていますが1巻を読めばこれまでの2人の人生が分かりますし、今作から読む方でも十分面白いと思います。今後45歳という年齢でどのような恋愛物語を見せてくれるのかとても楽しみです。余談ですが作者の安野モヨコさんの旦那様エヴァの庵野監督は奥さんの作品を「現実逃避させない漫画」と評価していたと思います。
あなたのことはそれほど
泥沼不倫も漫画でならば楽しめる!
美都は、小学校時代一目ぼれをした初恋相手の有島と偶然再会。美都には、平凡で優しい夫・涼太がいますが、有島は美都をその気にさせるような態度を取り不倫の沼へ。さらに、有島にも妻・麗華が居て子どもが生まれるのでした。美都は、不思議と罪悪感は芽生えず有島への恋心を募らせながらも、退屈な夫・涼太のことが嫌いなわけではなく、淡々と夫婦生活を続けていきます。けれどそんなことが長くも続くわけもなく。美都の夫・涼太に対する気持ちと、有島が妻・麗華に抱いている愛情は全く別の種類なのでした。2組の夫婦の不倫の行く末は…?
見どころは不倫をしてしまう人間の自分勝手さです。美都の様な人は女性の敵ですが、シチュエーション的にまったく理解不能とまでは感じません。しかし、美都は若い女の子ではないので、もう刺激はいいのではないかと残念に思います。できることなら、独身時代に有島に再会してこっぴどくフラれてから涼太と知り合って結婚すれば幸せになれたのかも知れません。「あなたのことはそれほど」に出てくる人物は、愛と執着をはき違えています。それぞれの幼少期の人間関係が、影響しているとわかりますが、表面ではわかりにくい人間の嫌な部分に胸がチクチクする作品です。登場人物が全員残念な性格なのに、ストーリーに引き込まれてしまいました。
&(アンド)
働く独身女性なら共感できる恋愛
薫は派遣の医療事務として働いている26歳・独身。派遣社員としての行き詰まりも感じ、また夢だったネイルサロンを開業しようと奔走し始める。開業先の場所を探し回っていた時に、偶然大学の後輩だった「シロちゃん」と再会する。サークルも大学も途中で辞めた薫のことが好きだった城田は、ひそかに再び恋をする。薫はというと、医療事務で働く病院の医師、矢飼が気になっていた。人に触られるのが苦手、そう思っていた薫だが、矢飼には自分から触れたいと思う。この恋を育てていきたい薫と、自分を裏切ったかつては大事な女性だったひとを抱える矢飼。恋愛初心者でありかつ結婚適齢期の独身女性と、恋愛を諦めた中年外科医師の切ない恋愛模様。
一言でいうと「切ない」です。切なすぎる運命なのです、薫と矢飼先生が。初めて触れたいと思った相手が、複雑すぎる人生を背負った矢飼なのがつらいです。もっと辛いのは矢飼先生。でもこの人は、背負わなくても良いものを、自分の罪悪感から全部ひとりで背負おうとしています。それなら恋愛なんぞするな!と怒りたくなりますが、しようと思っても出来ないのが恋愛、したくなくてもしてるのが恋愛です。仕方ないのかもしれないけど、一人で生きていく覚悟を決めていたのに、愛したいと思う女性が目の前に現れてしまった。二人で一緒に背負えばいいじゃない、という人もいるかもしれないが、抱えているものを降ろせばよいのではないかと思う。自分で自分の首を絞めているようで痛々しいです。また何年後かに自立した薫と再び恋愛してほしいと願います。
いいね!光源氏くん
源氏物語から飛び出した平安貴族が現代で暮らす
藤原沙織 27歳、雑貨メーカーの企画課で働いているOLだ。彼女は、部屋の模様替えのために買った簾をようやくカーテン変わりに取り付けた。その簾の向こうから人が来る。外はある程度階数のあるベランダなので、進入は考えられない。沙織はパニックになる。しばらくして落ち着いてから、突然現れた人を眺める。現れた人の格好は明らかに現代のものではない。歴史や古典の教科書で見る、まさに平安貴族。恐る恐る事情を聞いてみた。名は、光源氏という。夜道を歩いていたら、遠くに明かりが見えたから来てみたら沙織の部屋に繋がっていたとのこと。現代OLと平安貴族との不思議な共同生活が始まる。
過去から現代にタイムスリップしてきて定着するという話は、あるようでなかったので新鮮に感じました。長い烏帽子を絶対に外さないとか、感動したら即座に短歌を詠んじゃうとか、普通に街中でやられたら結構恥ずかしいなと思いながら読んでいました。でも、さすがは平安のプレイボーイ。優しさは山ほどありました。この後、光源氏を追ってきたというライバルの頭中将まで加わる。光源氏は短歌の講師として、頭中将はホストとして違和感がありつつも仕事をして、それなりに現代に馴染んでいるのがツボにハマりました。彼ら平安貴族は、元の時代に戻る気はあるのでしょうか。
違国日記
高校生の姪と30代独身女性の共同生活
中学三年生の女子、朝(あさ)の両親が交通事故で突然亡くなった。引き取る親類がおらず、朝の叔母であり作家でもある槇生(まきお)が朝と暮らすことになった。作家で一人暮らしが長く、人見知りでコミュニケーションが苦手な槇生。これから高校生活を送る、多感な年齢で両親を失ったばかりの朝。二人はほぼ初対面だったため、最初から生活はなかなかうまくいかない。それでも不器用な対話を続けて、生活を共にしていく。そのうちに朝は自分の親がどういう人間だったのか?自分は愛されていたのか?など、いろいろなことを疑問に思うようになる。
朝と槇生、この年代の違う二人の女性の心理描写がとてつもなく深く、繊細に表現されていて、引き込まれる。高校生になったばかりの頃特有のもやもやした将来への不安だけではなく、突然の親の死、難しい言葉をつかう叔母へのとまどいまでもが、くどくなく、最低限の絵とセリフで展開していく。また槙生のほうでも、自分自身の生き辛さ、生活面での不器用さ、突然の姪との共同生活への苦労などがある。それを、もがきながらまわりの力を借りて乗り越えていく。よくぞここまで複雑で言葉にするのが難しい感情を表現できるな、と毎回驚いている。
カノジョは今日もかたづかない
恋愛と私生活と仕事…大人の女性の悩みが溢れた作品
主人公の俵あいなは、もうすぐ30歳になるアラサー女子。いつも綺麗でしっかり者。デザイン会社に勤め社内での評価は上々、付き合って半年になる彼氏との関係も良好。しかし一見順風満帆のように見えるあいなの実情は全く違っていました。「私はうまくやれているはず」綺麗に着飾った彼女が振り向いた自分の部屋は、所謂“汚部屋”。カノジョは“片付けられない”女子なのです。彼氏になんて見せられない自分の部屋。仕事に忙殺され時間が足りない。毎日どうにかしなきゃと思っているのに…。「要領悪い」仕事に追われ毎日上手くいかないあいなにそう言い放ったのは、同僚の“定時男”こと深川。自分の不器用さを指摘され、仕事に追われるクリスマス。落ち込むあいなが帰宅したマンションの前には、同僚の深川がいて——。
読んでいて働く女性なら、あ~わかる、と思わず感情移入してしまう箇所も多いのではと思うこちらの作品。30目前で、職場ではそれなりに評価され、人当たり良く、仕事は断れない、帰った後は部屋を片付ける時間なんてない!外で完璧でいたいがために無理してしまう姿に共感してしまいます。上手くいっていたはずの恋愛も、良い姿しか見せたくないがためそこから歪が生まれてしまう様子もあるあるです。して感じの悪い深川は、あいなの要領の悪さに気付いている人。ありきたりにそこから恋愛が進むのかと思いきや、二人の関係はなかなか進展を見せません。でもそれがもどかしく感じる訳でもなく、とても自然に日常の物語が進んでいき、その描き方がとてもリアルできれいに描かれています。大人の恋愛漫画としてお勧めの作品です。
きみが心に棲みついた
心に棲みついたのは誰?
主人公は、暗くて挙動不振なところから、キョドコと呼ばれています。大学時代の先輩の星名からひどい仕打ちを受けているにも関わらず、星名のことが忘れられません。そんな中、合コンで知り合った吉崎という男に出会い、自分の欠点を厳しく指摘されます。そんな吉崎にキョドコは心を奪われ、吉崎にまとわりつくようになります。吉崎は厳しくて冷たいですが、根は優しい好青年です。吉崎のことが気になりはじめたキョドコですが、ある日、星名が自分の職場に転勤でくることになります。星名から逃げたいキョドコですが、過去のトラウマにより、心が支配されてしまって逃げることができません。これから先、どうなっていくかが見所です。
キョドコがなぜ星名から離れないのか理解不能でしたが、誰からも相手にされていないキョドコにとって星名は唯一優しく接してくれた相手であるため、なかなか離れられないんじゃないかと思うようになりました。それに比べ、吉崎は厳しいながらも本当にいい人で、早くキョドコとくっついてほしいと願わずにはいられませんでした。吉崎がキョドコに対してどんどん変わっていく姿にときめいて、キョドコが羨ましくなるほどでした。恋愛漫画にしてはドロドロしていますが、キョドコがしている仕事のことも丁寧に書かれていて、一生懸命頑張っているキョドコにエールを送りたくなります。ときめきもあり、感動もある久々に読みごたえのある漫画に出会いました。
だから私はメイクする
私は誰のためでもない、私のためだ。
「自分のメイク」を突き詰めるうちにあだ名が「マリー・アントワネット」になった女性、推しアイドルへの感動をセルフネイルで表す女性、周囲の男性からのアドバイス気取りな押しつけにうんざりする女性、仕事と美容を両立させる女性、「男性受け」するメイクから「推し受け」するメイクへチェンジした女性…。「女性として社会で生きる」ことで悩んだり苦しんだり疲れたりしている、リアルで等身大な登場人物たちが、それぞれの価値観で、メイクやファッションを通してより「自分らしく」楽しく生きていく方法を見つけ出すオムニバス作品です。
「メイクをすること」をワクワク楽しめる漫画です。女性にとって、メイクというのは「押しつけられる」一般常識・礼儀だと思います。メイクをすること自体苦手な人もいれば、思い描くメイクをしても他人に批評されてしまう人もいると思います。この作品は、自分が思うままで良い、と教えてくれる漫画です。主人公たちはみんな、様々なきっかけ、様々な理由でメイクをしていますが、共通するのは「自分の好きなようにする」という考え方。他者になにか言われても、TPOを考えつつ、根底では「私がしたいからする」というスタンスを貫く彼女たちがカッコイイ!主人公たちは誰もが自分の「好き」を貫き、けれど他者の批判はしないので、とにかくスカッとすがすがしい気持ちになれます。私も、あんな風に自分の「好き」を貫きたいな。
トラップホール
次の展開が全く読めないどん底ストーリー
フィールコミックスから発売されている「トラップホール」はねむようこによる作品だ。主人公・ハル子は大学卒業後に入社した会社に8年務めている。現在、5年間付き合った彼氏と婚約中だ。しかしある日、婚約中の彼氏に、別れて欲しいと告げられるハル子。理由を彼に尋ねると、彼は恋に落ちた、と頬を染めながら言う。人(ハル子のこと)を恋に落としておいて、一体何てことを言うのだろう、とハル子はショックを受ける。「まさか、相手を妊娠させたとか?」と尋ねるハル子。しかし彼氏は、そういうのではない、と言う。婚約者にフラれたことをきっかけに、どんどん下降していくハル子の物語が始まる・・・。
主人公・ハル子の転落人生を描いた今作は、ハル子の弱さは勿論、たくましさも感じられる作品になっている。失恋をした時は、酒を飲んだり、カラオケをしたり、髪を切ったりする人もいると思うが、今作の主人公・ハル子の場合は、それらでは全く失恋の傷が癒えず、長く務めた会社を辞めるだけではなく、両親も住んでいる慣れ親しんだ土地を自ら離れ、都会に向かってしまう。それだけでは無く、更にそこから転落する様が、ハル子には申し訳無いが、面白い所だ。ハル子に次々襲い掛かる災難は、まるで予想が付かない。そして、ラストの展開にも驚いた。とにかく驚愕しっぱなしの「トラップホール」。普段女性マンガを読まない人にこそオススメできる作品だ。
夏雪ランデブー
低体温ラブコメディ?
主人公の葉月亮介は花屋の店長、島尾六花に一目惚れし、花屋に通い詰めた末、ついにはアルバイトとして働くことに。葉月には闘病の末に亡くなった店長の亡き夫(今は幽霊)が見えるが、当の店長には見えない。夫の病死後、店長は新しい恋を始めることができないものの、徐々に葉月に心を開いていくことを快く思わない元夫(幽霊)。そんな中、葉月は亡き夫からの頼みで、一時的に身体を貸すことに。ところが身体を夫は全く返すつもりがないどころか、10も年下で生身の身体をもつ葉月に嫉妬し、髪は切るわ暴れ回るわの亡き夫に振り回されることに。葉月の生身の身体を戻す旅が始まる。
今どきな雰囲気の低体温・イケメン青年の葉月と、ベリーショートの髪型がボーイッシュなのに反応や性格が女の子らしく、そのわりに潔い、女性から見て「ずるい」の一言に尽きる店長の掛け合いがなんとも言えず良いです。元夫の彼も主人公へは敵意や嫉妬剥き出しで、主人公目線で出会う私達からするとびっくりする言動の数々ですが、生前の回想シーンからは、二人が思い合っていた様子も描かれ、切なくなります。また、舞台が花屋さんだけあり、主人公が店長に顔を覚えてもらうために次々と買い込んだ植物が出てくるシーンもあり(クッカバラとかこれで知りました)、観葉植物に親しむことができる作品です。
ピースオブケイク
20代の大恋愛叙事詩
主人公の志乃は24歳。流されるまま付き合っていた高圧的な彼氏と別れ、仕事も辞め、心機一転、叔父が所有するアパートに引っ越しをしてくる。引っ越してきた初日の夜、庭の草むしりをしていると、アパートの隣人である京志郎に出くわし、その笑顔に目を奪われる。その翌日バイトの面接に向かった先で、そのバイト先の店長として京志郎と偶然再会し、それから徐々に京志郎に惹かれていく志乃だったが、京志郎には同棲している彼女がいて…というストーリー。ストーリーが進むにつれ、京志郎の彼女であるあかりが出ていったことで話が大きく動いていきます。登場人物の心情が非常にリアルに描かれています。
ジョージ朝倉先生は本当に登場人物の心情を描くのが上手な漫画家です。主人公の志乃が店長である京志郎を好きになる場面や、あかりがいなくなってから京志郎と付き合い始めてからも自信の無さからあかりを気にしてしまう場面など、読者側が、あ、わかるといったリアルな感情を非常に叙情的に漫画に落とし込んでいると思います。コマどりなど魅せ方も映画的で本当に引き込まれます。また演出だけではなく、セリフがとてもキレイです。美しいのにどこか諦めがあるようなセリフがリアルで、それらが作品をロマンチックで魅力的なものにしているんだと思います。この作品は結果みんながハッピーエンドになれる最後だったのもよかったです。
最後に
心地よい感覚が心に染み渡る作品です。
他にも気になる漫画があれば是非チェックしてみて下さい!