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【2022年版】おすすめの歴史漫画50選を一挙に紹介!時代を感じさせる名作揃い

2021年6月2日

こんにちは、みけさんです!

今回はおすすめ歴史漫画を厳選して紹介していきます!

時代は平安・戦国時代から明治・大正時代まで幅広い時代の歴史漫画を織り交ぜてあります。

また、歴史の舞台となる国家も様々で、史実に基づいた作品も多いので世界史や日本史の勉強にもなります!

ファンタジー的な要素を含んだ作品も織り交ぜていますが、歴史の息吹を感じさせる描写には興奮すること間違いなしです!

歴史の流れの中で力強く生き抜いていく人々の姿に目が離せません!

それでは、行ってみよう!

おすすめの歴史漫画50選

淡海乃海 水面が揺れる時

戦国時代に異端児誕生!平凡なサラリーマンが歴史を動かす

平凡なサラリーマンであったはずの自分が、気づけば赤ん坊として生まれ変わっていた!?時は1550年の近江、朽木谷を領する国人領主朽木家の後継ぎとして生を受けた主人公、竹若丸。ただ一人の後継ぎということもありそのまま不自由なく育つことができると思われたが、まさかの2歳で父親が戦死して当主になるはめに!歴史が好きで良かったとその知識をもって上手く立ち回り、江戸時代に向けて家の安泰を計るべく奔走する主人公だが、その知識ゆえに少しずつ歴史は狂い始める‥。澄み酒やしいたけで所得を増やし、公方様のお世話をしつつ朝廷への根回しもばっちり、あちらこちらと走り回る竹若丸の明日はどうなる?戦国時代を駆け抜ける異端児の成り上がり人生がここに幕開く!

転生した歴史ものというと、歴史上の偉人に転生して上手くその人生をなぞっていくパターンが多いと思いますが、淡海乃海は生まれからまず一味違っています。織田信長や武田信玄などの有名人を抑えて、生まれ変わったのは朽木元網(本編では基綱)という地味な存在なのです。この主人公、漫画の主人公にありがちな熱血ぶりや正義感などとは無縁でひたすら冷静沈着、淡々と自分の家を富ませて少しずつ味方を増やしていきます。そのために元サラリーマンならではの駆け引きなどを使って上手く立ち回り、ちょっとした性格の悪さなども出ていて親近感があり好ましいです。主人公が動くと歴史も少しずつずれて動き出す、そのたびに上手く修正をして大きくなっていく主人公の快進撃が非常に痛快で、ページをめくる手が止まらなくなります!

 

アルキメデスの大戦

数学で戦争を止めようとした男の話

1933年(昭和8年)、山本五十六海軍少将はこれからの戦争は航空機主体となり巨大戦艦は不要となると考えていた。一方、造船中将平山忠道は今までにない巨大戦艦の建造を計画していた。だが平山の案は不当に安い見積もりで、自らの巨大戦艦「大和」を新型造船会議に通そうとしている。山本五十六はこの計画を阻止するべく、元東京帝国大学数学科の学生であり、数学の天才櫂直を海軍主計少佐に抜擢する。櫂直は平山案の見積もりをあばき、巨大戦艦「大和」の謎の為に奔走する。櫂直は巨大戦艦「大和」造船計画を阻止する事ができるのか!?

巨大戦艦「大和」の造船計画を数学の力で阻止するという今まで聞いた事もない斬新な方向から第二次世界大戦前の日本海軍を描いた作品です。天才数学者vs海軍の頭脳戦を描いています。従来の戦争ものとは全く違いますが、これも良いと思えるような作品です。数学で戦艦大和を捉えるのは一見難しそうと考えてしまいますが、主人公櫂直が数学で「大和」を捉えていく姿に爽快感を覚え読んでいるうちにどうなるんだろう…とワクワクします。櫂直が造船賛成派による同調圧力や妨害工作に屈せず戦艦「大和」の真実に迫る姿を応援せずにはいられません。戦艦大和の悲劇を知っていても、戦艦「大和」を作ろうという賛成派と戦艦は不要の反対派、それぞれの思惑を持った人々の人間ドラマにも注目です。

 

あをによし、それもよし

奈良の価値観を変えられた。

会社へ向かう途中に奈良時代へタイムスリップしてしまった山上。いきなりのタイムスリップ、何もない奈良時代に山上は…大喜び。彼は何もない暮らしを目指すミニマリストだった。そんな彼からしたら、素晴らしいタイムスリップ。偶然出会った小野老、気は合うが、目指すものが違う2人。山上の何となくで、何となく出世していく老。ミニマリストな暮らしをしたい山上だが、段々と色々な事に巻き込まれ、歴史を作っていく存在に…タイムスリップしてしまったのは山上だけではなかった?山上に平和な奈良でのミニマリスト生活は訪れるのか…

ストーリーの設定が最高です。タイムスリップにミニマリストな人間を使っている所が面白い。奈良時代の生活様式を改めて漫画で学べるのがとてもいいです。面白く学べそうなので、子供にも読ませたいです。山上の冷静さと、老の感情豊かさとたまに見せる奈良の常識でしょ?みたいな表情が、一番気に入っています。話が進むに連れて山上の周りに色々な人が集まってきますが、一人一人個性が強いキャラばかりなので、ツッコまれたりツッコんだり忙しいけど、シンプルな話で読んでいて癒されます。山上と老の正反対な考え方なのに、上手くやっていく仲の良さにほっこりします。

 

イノサン

動乱のパリに立つ死神・死刑執行人の物語

代々パリの死刑執行人「ムッシュー・ド・パリ」を請け負うサンソン家の長男として産まれた、心優しく美しい少年・シャルル アンリ サンソン。人々からは死神と呼ばれ敬遠されていましたが、当時の死刑執行はパリの貴族・民衆にとってひとつのエンターテイメントでした。それを訝しむシャルルは悩み葛藤しながらも、成長して父の跡を継ぎ、ムッシュー・ド・パリに就任します。時代は変わる、残酷な死刑がこのままで良いのだろうかと悩むシャルル。一方女の身でありながら、卓越した技術を持ち、ヴェルサイユの警備を担うことになったシャルルの妹マリー。死神サンソン家が、フランス革命目前の激動のパリで貴族や罪人たちと絡み合う物語。

全ページが絵画と見紛うほど緻密に繊細に描かれています。圧倒的な画力は「本当に漫画か?」と言いたくなるほどです。残酷な描写や性的なシーンが比喩で描かれていたり、現代風に風刺されていたりと、読者が考える点も多く読んでいて引き込まれます。見開きのページは特に、電子書籍で読む場合は必ず見開きで見られるように設定してほしいです。重要なシーンでは効果音を使わず、絵の力だけで表現したりしていますが、まるで音が聞こえるようです。授業では習わなかったフランス革命の裏側が丁寧に描かれているのも見どころです。当時の情勢や常識が面白くてよく分かる漫画です。

 

インノサン少年十字軍

少年十字軍の悲劇を新たな視点で描く名作

1212年。フランスの田舎町に暮らすエティエンヌは、ある日野原でラッパ(作中では喇叭と表記)を拾います。共に落ちていた手紙によると、それはキリストからの贈り物とのことでした。試みにそれを吹いてみるエティエンヌ。すると、彼の髪と目の色が変化します。彼はその喇叭の力を借り、町を襲ってきた盗賊を退治しました。その奇跡を目の当たりにしたニコラその奇跡に感化されます。ニコラはエティエンヌ、そして町の少年たちとエルサレムへ向かう少年十字軍を結成することに。少年たちのエルサレムへ向かう旅。それは悲劇にも向かう旅でもあったのです。

作者の古屋兎丸氏はここ数年絵柄が大変変化し、かなり耽美的な絵柄になっています。本作も同様で、少年たちの唇にスクリーントーンを貼るなど、個性的な絵柄。はじめは違和感がありましたが、読みすすめるにつれて慣れていきました。物語は実際の少年十字軍に沿って進められていきます。少年ゆえの未熟さ、そして無垢さが絵柄によって強調されているところがいいです。ひたすらに信仰を胸に進む少年たち。しかし、その無垢な心は「ある者」にとっては絶好の獲物でもありました。意気揚々と旅立った少年たちが少しずつ追い詰められ、互いの想いに齟齬が出てくるさまはリアル。実在した少年十字軍の物語が、独特の目線で描かれているのもポイント。無垢なる存在である彼らの道程が恐ろしく、切ない物語です。

 

ヴィンランド・サガ

争いあうことのない楽園を求めて、ヴァイキングの新大陸への旅が今、始まる。

始まりの舞台は西暦1,000年ごろのアイスランド。フィンランド・ノルウェーなどに囲まれた北海では、あらゆる地に現れ、戦・略奪など暴虐を繰り返すヴァイキングが全盛を極めていた。主人公の少年「トルフィン」は、痩せてはいるが戦の少ないアイスランドの土地に生まれ、いつか戦に赴くことを夢見ながら平和に暮らしていた。そのヴァイキングの中でも最強と謳われた父を巡り、彼は幼くして戦の禍根に巻き込まれていく。平和を望んだ父の言葉を胸に、「豊かに」「生きる」ことの答えを求めて、やがて幻とされる“新大陸”を目指す大冒険譚が始まる。

とにかく面白いの一言!出てくるキャラクターの個性も強く、敵役なのに一つ一つのセリフがぐっと深かったり、ヴァイキング達の独特の死生観や宗教観がこの漫画ならではです。誰もが知っている「ヴァイキング」という存在ですが、その歴史的背景や生活スタイルを詳しく知る人は少ないはず。そこにスポットを当てて描かれている作品は少なく、中でもこの作品ほど読みやすいものは他にないと思います。絵もきれいで戦闘シーンの書き方が上手いので、ちょっと小難しい政治の話も出てきますが、それらを読み飛ばしても楽しめること間違いなしです。

 

応天の門

イケメンプレイボーイと学問オタクの最強タッグ

平安時代。藤原氏が牽制を誇る都では互いの腹を探り合うような貴族社会です。ある時、藤原親嗣の屋敷に仕える下女が行方不明になったとの報告がありました。当時は怪奇が信じられていた時代。人々は「鬼にさらわれたのだ」と噂します。幼帝もまた、そのうわさに怯え調査させることに。命を受けた在原業平は、検非違使が捕らえた青年・紀長谷雄との騒動に巻き込まれます。長谷雄がだいそれたことをする人物で無いことを知っている業平。騒動の中、もうひとりの青年と出会います。彼の名は菅原道真。道真との出会いにより、事件の謎は解かれ、業平と道真との親交がはじまります。

後に政争に破れ、学問の神として祀られることになる菅原道真の青年期が描かれています。先の騒動時、心ならずも在原業平に助言をすることになった彼は当時はまだ学生でした。しかし道真は学問には極めて秀でています。当時は怪異が普通に信じられており、人々はなにかにつけては「鬼の仕業」など非科学的なことをいう時代でした。そんな中「鬼などいるはずもない」というのが道真の主張。理論的に考える道真が魅力的です。一方でかなりのインドア派。学問オタクといっていいほど書物を漁るのが彼の日々です。道真のそんな生活は業平とであったことで大きく変わります。業平が持ち込んでくる「やっかいごと」を面倒そうに、しかし的確に解決するのは痛快。平安京を舞台にした、ミステリーを楽しめる作品です。

 

おれは直角

実在した藩校が舞台の痛快傑作!

江戸時代の長州藩。武士の中ではあまり高い身分ではない父を持つ少年、直角(ちょっかく)。彼は藩の名門校である萩明倫館に通っている。学問は得意ではない直角だが、剣の才能は素晴らしかった。直角は自身があみだした技「直角斬り」で、武芸大会の明倫館代表として勝ち進んで行く。しかし戦のない時代に生きる直角、武士にも「武」より「文」が重んじられる風潮となっていた。校長が交代することになった明倫館で、新校長は、「武」と「文」のどちらを志すのか、少年達に選択をせまる。友人の多い直角であったが「武」を選んだのは、どうやら直角だけらしく……?藩校を舞台に一本気な主人公が縦横無尽に大活躍する名作!

江戸時代を舞台にした漫画も学園もの漫画も、名作は数多く存在しますが、時代設定が江戸で舞台が学園物な作品はめずらしくて貴重です。もちろんめずらしさだけではなく、歴史ものとしても学園ものとしても楽しめます。主人公直角は架空の人物ですが、舞台となる萩明倫館は実在した藩校がモデルです。学校側はたてまえとして文武両道をうたっているものの、勉強重視のカリキュラムで剣術の腕はすごいが学問の成績がよくない直角は窮地に立たされることが多く……など、キャラクター目線で物語を追えるのが魅力です。物語後半の、大人たちが「藩を改革しなくては」と動きだす展開も読みごたえありです。メガヒットをつぎつぎ世に送りだした小山ゆう先生が描く青春歴史漫画です!

 

お~い!竜馬

幕末の異端児、坂本竜馬の半生を描く!

時は、江戸時代後期。土佐藩の下級武士の家に、不思議な特徴をもった男の子が産まれました。髪はちぢれ毛、背中には馬のたてがみのような産毛が生えていました。竜馬と名付けられた少年は、後に幕末日本を動かす大人物となります。幼少期の竜馬は、武術でも勉強でも落ちこぼれ、泣き虫・弱虫とあざけられました。しかし、複雑な社会背景にもまれながらその頭角を徐々にあらわします。人一倍感受性が豊かだった竜馬は、多種多様な思想を受け入れ自らの志を固めます。そして、己の理想とする日本を築くため幕末の動乱に身を投じていきます。

幕末は、日本が真っ二つの意見に分かれた時代です。武士や商人をはじめとする知識階級が幕府擁護か幕府打倒かに分かれて戦いました。幕末の志士たちが魅力的なのは、それぞれが己の信じた思想のために命をかけたことです。その中でも、特に現代でもファンが多く、最も革新的な思想を持って輝いていた人物が坂本竜馬です。当時は、まだ国家という概念がしっかりと人々の間に浸透していませんでした。しかし、竜馬は両極に分かれた主義主張を超えて、日本国家を守ろうと奔走しました。その革新的で柔軟な考えはいったいどこからうまれたのか。竜馬の複雑な生い立ちと共に、彼の人間としての魅力をたっぷり描いた作品です。

 

キングダム

中華統一への道に人の生き様を学ぶ!

中国の春秋戦国時代…秦に生まれた信は奴隷として幼少期を過ごした。そんな奴隷としての生活の最中同じ奴隷であり幼なじみである漂と天下の大将軍になりたいとの夢を抱き互いに切磋琢磨をする。ある日、漂は後の始皇帝となる政に似ていたことから、政の影武者として王都に連れていかれる。その後に漂は政の弟が起こしたクーデターに巻き込まれる。ぼろぼろになりながらも信の元へたどり着いた漂は自分の夢ととある場所の地図を信に託し亡くなってしまう。2人分の夢を背負った信は、死ぬ間際に漂に託された地図の場所に行くと、そこにはクーデターにより追われた後の始皇帝である政の姿が…そして政に出会った信の天下の大将軍を目指す激しい戦い日々が幕を開けた。

数々の戦いがあり様々な強敵、天に名を轟かせる将軍達との出逢い、戦いがとにかくアツいです。戦いの中で人としての成長していく信やその周りをとりまく人間、果ては敵の将軍までも様々な人々の生き様がぶつかり合いつつも輝いていて、とても心に響くものがあります。キングダムというマンガは、単なるサクセスストーリーなんかではありません。死んでいった仲間たち、互いに夢を追いかける仲間たち、みんなの思いを背負い決死の思いで戦い続ける信。いつか本当に死んでしまいそうなギリギリの戦いに身を投じているそんなピリピリとした感情が伝わってきます。

 

傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン

働く女性×ベルサイユ宮殿!

18世紀フランス。革命の起きる前のベルサイユ宮殿。そこには王妃マリー・アントワネットから絶大な支持を受ける一人の女性の仕立て屋がいた。その仕立て屋こそ、ローズ・ベルタン。彼女は平民のお針子から実力で地位を手にいれたのだが、それまでの道のりは決して平坦なものではなかった。毛織物産業が盛んな地方都市アブヴィルで仕立ての仕事をしていたベルタンは、腕のよさを同業者にねたまれることも多かった。ベルタンはパリの高級店で働くこととなり、彼女が手掛けた花嫁衣裳の素晴らしさは、ベルサイユにまで伝わるほどだった!実在した女性ローズ・ベルタンの波乱のサクセスストーリー。

実在した女性仕立て屋ローズ・ベルタンが主人公の本作。時代設定は18世紀ですが、現在でも通じるテーマをとりあつかっています。『女性と職業とは?』や、そもそも性別以前に『人間と仕事とは?』といった問題です。ベルタンは実在女性&革命前後のフランスを舞台にした歴史漫画はたくさんあるため、ベルタンを脇役キャラとしてご存知のかたは大勢いらっしゃると思います。しかしこの作品は、ベルタンがヒロイン!18世紀に女性が仕立て屋として成功する前に立ちはだかる困難や課題がくわしく描かれています。歴史漫画としてもお仕事漫画としてもファッション漫画(昔はデザイナーのヒロインが服を作る、ファッションをテーマにした漫画がいっぱいあったのですが、最近はあまりみかけないので)としても楽しめます!

 

衛府の七忍

こんな日本史あり?壮大な超解釈江戸幕府開幕に戦慄する!

徳川家康が戦国の世を終わらせ、日本に泰平の世が訪れる。それは歓迎すべきことのようで、徳川の意に沿わぬ者を排除する時代の始まりでもあった。幕府を乱すとされた真田一族、まつろわぬ民、北の山で生きる蝦夷、琉球で生きる者、異国の民……彼らは幕府の権威によって叩き潰されるさだめにあった。しかし、彼らはたちあがる。命が尽きようとしたそのとき、怨身忍者と呼ばれる存在へ変化してゆくのだ。自由を謳歌する世をめざし、幕府の追っ手と死闘を繰り広げる怨身忍者たち。彼らは多様性を嫌う大和民族そのものと戦いに挑むのであった。はたして怨身忍者は自由の世を手にすることができるのか?

これはかなり高度な作品です。「チェスト関ヶ原」といった特徴的なフレーズが受けてしまい、ネタのような扱いを受けております。しかし、単行本巻末にある参考文献を見てください。山口先生は稗史、つまりは民衆の目線で見た歴史を描こうとしているのです。大和民族のエライおじさんだけが日本の歴史を作ってきたわけじゃない!琉球やアイヌの人々、異国から来た人々。そんな彼らの消えていきそうな声を、怨身忍者を通して届けようとする。ロボットやタイムスリップが出てきてこれを歴史ものと読んでいいのかと思いたくもなりますが、ケレン味たっぷりだからこそ刺さる表現もあります。かつてあった網野善彦的な世界観を打ち出すことで、日本版BLM、ダイバーシティを描く、紛れもない大傑作なのです!今こそ読むべき作品です。

 

ゴールデンカムイ

埋蔵金を奪い合うサバイバル歴史漫画!

時代は、明治30年代。「不死身の杉元」として有名な杉元佐一は日露戦争後に軍を満期除隊して、ある目的のために北海道の川で砂金を取っていた。そこで出会った爺さんから、粒の大きな砂金が大量に埋蔵されているという話を聞く。その持ち主は網走監獄に収監されていて、手掛かりを持ち出すことは一切不可能な状態におかれていた。その持ち主は何人もの囚人を言葉巧みに誘い、暗号の地図を刺青として上半身に刻んでいった。杉元は妙にリアルな話だと思っていたが、ある出来事からこの爺さんが刺青をされた囚人であることが分かる。この出来事で出会ったアイヌの少女と杉元が、協力して埋蔵金を探していく物語となっている。

この作品では、アイヌの生活を一部知ることが出来ます。少々残酷な描写もありますが、全ての命を大切にして生活しているんだなということが分かりました。また、この物語には網走監獄で最も有名な脱獄囚がモデルとなったキャラクターが登場します。話には聞いていましたが「こんな方法を使って脱獄していたのか。資材が限られた中でよく思い付くな」と関心してしまいました。現在既に刊行数がかなりあって、最近読み始めたばかりの私にとって最新話まで追い付くのが大変ですが、地図の刺青の囚人を捜し、様々な追っ手をどのようにかわしていくのか楽しみにして読んでいきたいと思う作品です。

 

SIDOOH―士道―

歴史を掘り下げたくなる漫画!

幕末から明治維新にかけての動乱を二人の兄弟を視点に描いた漫画です。明治維新の動乱を幕府側と薩長側でみることができる作品となっています。幕府がどのようにして崩れたのか、薩長がどのようにして新政府をつくったのか、史実に基づいて描かれているので明治維新の流れを知るためにはとてもいい作品だと思います。二人の兄弟は実際に存在しなかったのですが坂本龍馬や新撰組などが登場するので歴史をあまり知らない人も入りやすい漫画になっています。主人公は会津藩側として描かれているのですが読み進めるうちに当時の武士道を好きになってくることでしょう。

作者は高橋ツトムさんでとにかく画力がすごい!登場人物がリアルに描かれています。また明治維新の話なので当然亡くなる人もいますがその人たちの死に際の描き方が素晴らしいです。一人一人の花が散る様子を心情を交えながら描いています。とくに中盤で出てくる高杉晋作のエピソードは涙をそそるものになると思います。私はこの作品をきっかけに高杉晋作を好きになりさらに掘り下げるようになりました。この漫画を読むことで皆さんお気に入りの維新の志士を見つけることができるものになると思います。画力からエピソードまで本当に一流の作品です!

 

ジパング

予測不能な太平洋戦争

本作は太平洋戦争末期の日本に、現代日本の海上自衛隊のイージス艦「みらい」が乗組員ごとタイムスリップしてしまう物語です。高性能装備を備えたみらいは、米軍にとっても自国である日本でもよくも悪くも、戦況を大きく変えてしまうほどの脅威となり危険視されます。戦前・戦後の歴史を知っている主人公達は、本来の歴史の流れに対して干渉すべきか葛藤しますが、いや応なしにこの戦争に巻き込まれていきます。あくまで人道支援を目標とする現代日本の海上自衛隊の面々が、戦下という異常事態の中でどういった行動をとるのかが描かれています。

本作の魅力は、学校では深く学ぶ機会の少ない太平洋戦争末期の出来事と戦下での日本軍の状況を知ることができる点だと思います。日本は戦後一貫して戦力を保持せず、交戦権なしの姿勢を貫いています(日本国憲法9条)。この9条改正が現代日本で議論の的にもなっているわけですが、賛成にしても反対にしても、戦争とはどういうものかを考えてから各主張をすべきです。本作は戦下においても人道支援を行う立場をとる人間の心理状態について描かれており、日本が本当にこのまま現在の姿勢を貫いていくことができるのかどうか、本作を通して考えさせられました。ぜひご一読してみてください!

 

昭和天皇物語

昭和天皇はどのような数奇な運命を辿ってきたのか。私は知りたいと…思った。

昭和20年(1945年)大日本帝国はポツダム宣言を受諾。昭和天皇の玉音放送をもって日本は敗戦を受け入れて、大東亜戦争を終結した。物語は、太平洋戦争後の昭和天皇と連合軍最高司令官マッカーサーの会見から始まります。昭和天皇はマッカーサーに一言、言います。「私は全責任を負います」マッカーサーはあの日、昭和天皇は命乞いの為私を訪ねたのではなかったと述懐します。かつて世界の歴史上で自らの命と引き換えに、自国民を救おうとした国王がいたであろうか?そして昭和天皇の人生はどのうような人生を辿ってきたのか知りたいと思いました。

物語として昭和天皇の想像を絶する人生を描いた作品です。非常に丁寧で緻密な絵で、天皇というデリケートなテーマを扱っています。平成生まれである私にとって歴史上の人物である昭和天皇の人生を漫画で知る事ができます。昭和天皇の生きた時代背景、幼少期から天皇になる過程とその時代の人々も知る事ができ大変興味深い作品です。マッカーサーに戦争について「私が全責任を負います」と言った背景、自らの命と引き換えに国民の命を救おうとした君主がどのようにしてそのような考えになったのか私もマッカーサーと同様に知りたいと思いました。

 

センゴク

イノシシ武者の戦国一の挽回物語

主人公仙石権兵衛秀久は、美濃斎藤家に仕える武士であったが、織田家に捕らえられるも、その並外れた体躯から信長に召し抱えられ、秀吉の与力となる。以後秀吉の全国一統を常の戦の最前線に立ち、武勲を挙げ、30代前半で淡路10万石の大名に出世する。しかし、秀吉の九州征伐の先遣隊を指揮する仙石は、秀吉の待機の命令を無視して島津と戦端を開いてしまい、しかも大敗する。その責任を問われ大名から一介の浪人に身を落としてしまう。だがこの漫画の本編はここから始まる。仙石はどのように一介の浪人から挽回し、秀吉の下、再び大名に復帰し、秀吉亡き後も、大名として生き残ることができたかが描かれる。

この物語の主人公仙石権兵衛秀久は不器用で人間臭い。秀吉が天下人になると、周りの武士たちは、体制の中での出世を目指し変わっていく中、人間味を失わずかつ失敗の経験を活かし生き残っていきます。しかしこの漫画の本当の面白しさは秀吉と家康の人間的動揺と成長にあると思っています。秀吉は本能寺の変直後から、自らビジョンを掲げ、その天才ぶりで次々望みを実現していきます。家康は秀吉の才能に屈し、国を守るため服従の意向を固めるも、いつか来るかもしれないその時まで野心を隠し少しずつ自分の立場を高めていきます。天下一統後、秀吉は精神的支柱である母親と右腕である弟の秀長を相次いで亡くします。そこから秀吉の精神的苦境が始まる中、逆に家康は精神的成長を遂げていきます。この対比がこの漫画の最大の見どころです。

 

戦国小町 苦労譚

信長の参謀が女子高生!目が覚めたら戦国時代でした!

農業高校に通う農業・歴史好きの自他共に認める農耕歴女の綾小路静子。ある日の学校の帰り道シズコは気を失ってしまう。目覚めると見たこともない景色の場所に。その時、目の前に現れたのは、なんとあの織田信長。シズコは戦国時代にタイムスリップしてしまったのだ?!信長の兵たちに捕らえられ、わが身を守るため咄嗟に「南蛮の農業の最新知識を持っているので役に立てます!」と約束してしまうシズコ。信長の家臣になり現代の知識+農業知識で戦国時代を生き抜き歴史を変えていく、シズコと携わる有名な戦国武将たちも徐々にその運命が変わっていく?はたしてシズコは、無事に現代へ帰ることが出来るのか?普通の女子高生が農業で戦国時代をひっくり返す痛快なコミカライズ!

農業の重要さと知識が凄い。農業の知識をかなりわかりやすく教えてもらえます。普段なにげなく食べている野菜がどうやって出来ているのか?どの様にして我々に与えられているのか?学校では聞いても入ってこない農業の進歩の歴史が漫画でならすらすら入る。農業以外のサバイバル知識も豊富。意外とシズコが野生児です。猟の罠の作り方やなぜ猟が必要かなども細かに説明してくれます。またものづくりも鍛冶師の金蔵さんを発端に、そこからどんどん進んで規模が大きくなっていきます。信長の無茶ぶりを毎回農業と現代知識で信長の期待を上回って驚かせる毎回の絡みが最高です。

 

戦争は女の顔をしていない

誇張も美化もない、女性たちにとっての「戦争」とは。

祖国のためと軍に志願し戦うも、存在を否定された女性たち──。一軍人として戦ったソ連の女性たちは、戦後、周囲の軽蔑と圧力から口を閉ざさざるを得なかった。当時抱えていた熱い思い、男たちから受けた冷遇と嘲笑、酷使された身体の痛み……。英雄として美化されることも、悲劇として憐れまれることもなかった、数々の体験。年月を経て明かされる、彼女たちにとっての「戦争」とは。五百人を超える女性たちに取材を行った作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチと、第二次世界大戦に従軍した記憶を語る女性たちの証言、そして交流が淡々と描かれる。

小梅けいとの柔らかな絵柄で描かれる、戦争の記憶。血生臭くグロテスクな描写も、涙を誘う感動的な演出もなく、ただひたすら誠実に、女性たちの体験が綴られていく。誇張も美化もない、等身大の彼女たちの姿は、かえって深く心をえぐる。取材にあたるアレクシエーヴィチと女性たちとのやりとりも人間くさく、考えさせられるものがある。戦争とは何であったのか、どういうものだったのか、簡単に一言では答えられない問題を突きつけられる。ソ連生まれのノーベル文学賞作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの著作をコミカライズした、衝撃の作品。

 

千年狐

千年生きた狐は今日も今日とて化かし合い

中国・晋の時代、王の墓陵に千年を生きた狐がいるという…。名を廣天というその狐は、墓陵の入り口に立つ華表と呼ばれる木の柱と生活していた。ある日廣天は華表にこう提案する。「人間を化かしてこようかな」「やめとけよ」。かつて山の神木だった華表は廣天に人間の恐ろしさを解くも、好奇心旺盛な廣天は静止虚しく、墓陵の近くに住むという博学の男・張華を化かしに行ってしまう。役人である博学の張華VS千年生きた狐・廣天。廣天は人間を化かしきれるのか?!人ならざるモノと人間が織りなす、ユーモアあふれる中国歴史ファンタジー、ここに開幕!

中国の「捜神記」という小説がもとになっており、間接的に中国の歴史や文化、宗教観を知ることが出来ます。捜神記はあくまでベースですが、参考文献が多いのでかなり勉強になります。舞台が中国、しかもかなり昔なので、難しい言葉や聞きなれない言葉も多いですが、漫画がかなりコメディー色強めに描いてあり、注釈もあるので止まることなくスラスラ読めます。基本ギャグというか笑いに重きが置いてあるので、本当に面白いです。セリフがセンスに溢れています。シリアスとコメディーの塩梅がしっかりしています。狐の廣天が人間に化けている姿は相当のイケメンなのでイケメンが見たい人で、中国の歴史に興味がある人は特にオススメです。

 

蒼天航路

とにかく曹操の魅力を知りたい!という人にオススメです

三国志を曹操を主人公として学ぶことのできる漫画です。始まりは曹操が幼い頃から青年期、そして終盤はかなり年老いた曹操まで、とにかく曹操が目立つストーリーです。勿論曹操だけでなく袁尚や呂布、諸葛孔明、劉備なども登場し、あくまでも曹操が主人公的立ち位置というだけで幅広く三国志を知ることができます。曹操は物事をどのように考えたのだろうか、呂布はなぜ反覆を繰り返したのか、劉備はどのように考えたのか、なぜ諸葛孔明は劉備についたのだろうか、そもそもなぜ魏呉蜀に分かれたのか、そんな内容が曹操をメインにして分かりやすく進められていきます。

歴史漫画と言っても戦闘シーンなどはかなり臨場感があり、諸葛孔明の出す謎の異世界空間などは芸術性も高く、また登場人物の台詞回しなども面白くなっており取っつきやすくあまり堅い印象を受けないのが良いところです。特に序盤は呂布の描写が非常に興味深く、彼がなぜ負けたのか、彼はなぜどこか切なさがあるのかなどが印象に残ります。劉備はなぜ曹操から離れ、関羽、張飛はなぜ劉備についていったのか、天下人に必要なものはいったい何だろうかなど、単純に三国志が知れるだけでなく哲学的な内容も触れられておりそこも見どころの一つと言えるでしょう。

 

高丘親王航海記

澁澤龍彦の幻想世界が鮮やかにコミカライズ

平城天皇を父に持つ高丘親王。父の寵姫である藤原薬子とは幼い頃交流がありました。彼女が寝物語に語る、天竺の話。彼にとって「天竺」は遥かなる夢の世界の存在となったのです。親王は政権の煽りを受け廃太子に。そして、大切な存在であった薬子もまた亡き人となるのでした。彼は幼くして出家することになりました。それから数十年。50を過ぎた親王は、その年には見えないと言われるほど若々しい姿をしています。彼は長年の夢であった天竺へ旅をすることにしました。長安で暮らしていた親王は、そこから天竺へ目指します。親王はその旅の中で、様々な不思議と出会うことになります。

澁澤龍彦の同名小説のコミカライズです。実際にあった話を幻想的に描いた物語が見事に視覚化されています。非常にシンプルな線で描かれており、すっきりとした絵柄なのが素敵です。大きいコマの背景に描かれる、不思議な幻想風景も印象的。解説でも書かれていることですが、意外と絵の書き込みがいいのです。その解説から例を挙げると、長安の港に様々なスタイルの船が描かれているのです。つまり、様々な国からやってきた船ということですね。親王が出会う、幻想世界も大変魅力的です。高丘親王は実在した人物で、実際にこのような旅をしています。史実が幻想世界として描かれている名作です。

 

長歌行

大唐帝国皇帝李世民、その栄光の陰で彼を父の仇と狙った少女の激動の流離譚

隋末の動乱を制して天下を統一した唐。そんな唐の建国者李淵の後継者の座を巡って勃発した玄武門の変。兄である皇太子李建成を討って2代目の皇帝に即位した李世民だったが、敗者の一族を滅ぼそうとする過程において李建成の娘で、自身の姪でもある李長歌を取り逃がしてしまう。女を捨てて少年の身に扮した李長歌は「命ある限り、叔父・李世民を必ず地獄へ落とす」と誓うのだった。やがて李長歌は北の要衝・朔州で、自らの勢力を築く第一歩として唐と敵対する遊牧国家突厥との戦いに身を投じるのだが、そんな彼女の前に現れたのが突厥軍の若き常勝将軍・阿史那隼だった。運命の出会いを通じて、復讐か己の幸せかの選択を迫られる少女の激動の半生の物語!

まず新鮮だと思われるのは、隋末当初という、中国史において日本で注目されることの少ない時代を舞台にした作品だということです。中国史上最高の名君との呼び声も高い李世民を初め、魅力溢れる個性的な人物が数多く活躍した時代ですね。そんな動乱の時代を背景に、歴史の陰に埋もれた敗者李建成の娘を主人公に設定していて、歴史を裏から覗き見るような印象を受けることができます。唐の建国初期において最大の脅威であった突厥との戦いが描かれているところも注目ポイントですね。そんな舞台設定の上で、主人公李長歌と、民族が異なる青年阿史那隼との関係の変化が、最初は敵対者として、次いで協力者として、最後は男女の間柄として丁寧に描かれています。一度は誓った復讐を取るか、己の幸せを取るか? 揺れ動く少女の想いを見つめましょう。

 

ちるらん

幕末に散った漢たちの鎮魂歌

明治45年、女性記者の市川真琴は土方歳三の真実を知るために新選組の生き残りでかつて2番隊組長の「永倉新八」である杉村義衛が住む北海道小樽市へやってきた。杉村は真実を墓まで持っていこうと考えていたが、彼女が土方歳三の孫だと気づき真実を語り始める。かつて、土方歳三は石田散薬の行商の傍ら、道場破りをしてボコボコにした相手に薬を売りつけながら剣の腕を磨いていた。ある日偶然立ち寄った試衛館で道場主の近藤勇に勝負を申し込む。だが圧倒的な力で土方は敗北するが、そこには土方の求めていたものがあり、土方は試衛館の門を叩く。

物語は土方歳三が試衛館に入門するところから始まるため、新選組を題材とした話では時系列としてはかなり前の段階から始まります。土方が様々な武士と戦い、強くなっていく作品なのですが、歴史上の土方歳三は「鬼の副長」と呼ばれるほど冷酷でストイックなイメージで語られていますが、この作品では純粋に強さを求める武士として描かれています。そして土方だけでなく、芹沢鴨を含む新選組の面々、土方たちと戦うことになる実在した幕末四大人斬りなど様々な武士たちも個々に過去などの物語を丁寧に描かれているのもポイントです。細かいところなど作者オリジナルの話もありますが、かなり史実に近い内容になっていると思います。

 

チェーザレ 破壊の創造者

闇の闇の英雄チェーザレ、その青年時代

イタリアのピサ、そこにあるサピエンツァ大学から物語は始まります。才能を見込まれて特別待遇でそこへ入学したアンジェロ。しかし、彼は驚くほどに純朴で、思ったことをそのまま言ってしまうような性格。悪意はないのですが、周りの空気を凍らせることもしばしば。そんなアンジェロは、ある日スペインから入学してきたチェーザレに出会います。親交を持つことになったふたりですが、実はそれはかなりまずいことだったのです。大学では、それぞれの出身地で学生団、いわゆる派閥のようなものがありました。フィレンツェからやってきたアンジェロは当然その学生団に所属し、他の団と親しくするのは好まれません。一方、チェーザレにとってアンジェロの背後にいるジョバンニは有益な人物。彼はメディチ家の出身です。大学を舞台に、さまざまな陰謀がひしめき合います。

作者の惣領冬実さんは、本作を描くにあたって、かなり資料を集めたようです。そのため、ちょっとした小道具なども当時をできるだけ再現しているのが伺えます。例えばフォークなども今とは違う形で、その描写に非常に興味を覚えました。本作の主人公・アンジェロは架空の人物です。作者によると彼の視点を通して世界を描くのには理由があるとか。アンジェロの存在によって、私達に馴染みのない中世ヨーロッパの世界観が、彼と等しく新鮮に写るということです。狂言回し的な立ち位置の彼ですが、物語に少し緩い場面を与え、世界観に惹き込まれる存在になっています。他の人物は実在した人々。後に悪い意味でも英雄とされるチェーザレの若き日が活き活きと描かれているのが魅力です。

 

沈黙の艦隊

独立国家やまと その正体は?

米第七艦隊所属の原子力潜水艦シーバットは完成後の試運転を指揮官の海江田を始めとする海上自衛隊の隊員が行っていた。その後、海江田は一緒に乗艦していた米軍のライアン大佐を拘束し指揮を自らが取り、艦名をやまとと名乗ることに・・・ここに日本初の原子力潜水艦やまとが誕生する。そしてこの潜水艦自体を一つの国家と見なして独立宣言を行う。そしてついには日本とやまとは同盟を結ぶことになり、アメリカとの軋轢が生まれる。日本国、海上自衛隊、アメリカ、第七艦隊を含めての大掛かりな戦いが発生するという痛快物語。単に軍事のみではなく国際間のやり取りも多彩にあり楽しめます。

潜水艦物の漫画の最高傑作だと思います。見所としては原潜やまとの行動を阻止しようとする米海軍との戦いのシーンが、とてもリアルに描かれています。とくに熟練した艦長同士の知恵を凝らした戦いぶりの描写は見事です。また日本の現在の防衛体制の問題点も浮き彫りになっています。やまとを米軍が攻撃しても海上自衛隊の艦艇は、その攻撃を妨害することしかできない。日本ができるのは専守防衛のみでアメリカに対しては常に弱腰。国家とは何なのか?を考えさせられます。原子力潜水艦を一つの国家として世界に認めさせるというこのストーリーは、日本はまだ独立した国家になっていないという作者の思いが込められたメッセージであると思います。

 

チ。―地球の運動について―

どうしようもなく血がたぎる、地に関する知の物語。

15世紀のP王国では異端な考えを持つ人は問答無用で拷問や処刑をされてしまいます。その中で、実は地球が規則的に動いている…いわゆる「地動説」をとなえる人達がいました。C教では天動説を信じているので、地動説を信じている人はC教徒の人に捕まらないように、こっそり研究をしているのです。主人公のラファウは12歳で大学に進学するほどの秀才です。ところがある日、フベルトという異端の男と知り合ってから、ラファウのなかの世界や運命が変わってしまいます。これはラファウや地動説を信じる人達の時代を超えたとてもアツい物語。

この物語は地動説が表向きのテーマですが、実は宗教や哲学もかなり関係しています。ラファウが知り合ったフベルトは「神が作ったこの世界は、きっとなにより美しい」とラファウに伝えます。異端だけど、神の存在を信じているのです。それなのに異端審問官(異端を捕まえて取り調べる人)は、仕事と割り切ってフベルトを捕まえます。「信じる」とは何なのか。人を救うための宗教なのに人を追い詰めたり傷つけたりするのは何故なのか。いろいろ考えさせられる物語です。そしてフベルトをはじめ、この登場人物たちの語る言葉がとても哲学的で、とても心に残ります。最後はどうなるか見当もつきませんが、信じる者は救われてほしいです。

 

テルマエ・ロマエ

日本の最新のお風呂文化を古代ローマ時代に再現!?

古代ローマ時代のお風呂技師のルシウスは、新しいテルマエの設計に悩んでいました。テルマエについて悩んでいると必ず激しく吸い込まれる感覚を最後に気を失って、目覚めると見たことのない世界に行ってしまいます。その世界とは、時空も国も超えた現代の日本なのでした。何も分からないし、言葉も通じない。でも『平たい顔族』がお風呂に対して並々ならぬ情熱を注ぎ、様々な工夫がされていることをルシウスは実感します。出会う人々に助けられながら、お風呂文化を学んで古代ローマに戻って再現しようと必死になります。古代ローマに戻り、現代日本のお風呂文化をアレンジしてテルマエを作ったところ大盛況になります。それが皇帝ハドリアヌスの目に留まり、ハドリアヌスの求めるテルマエを作るようになっていきます。

古代ローマとお風呂をテーマにした漫画です。現代で浴槽に浸かる文化を持つ国は少ないですが、古代ローマでもテルマエという公衆浴場で浴槽に浸かる文化があったことをこの漫画で知りました。この作品の面白いところは、様々なパターンでルシウスが吸い込まれていくところです。次はどんなパターンで、どこに現れるんだろうと読むたびにワクワクしています。ルシウスを助ける人たちは、みんな優しい人たちばかりで言葉も通じないのに一生懸命になっているところを見て、これが日本人の良いところなのかなと考えさせられる作品でもあります。

 

ドリフターズ

時代の壁を突き抜けた壮絶なサバイバル漫画!

島津豊久と織田信長、那須与一を中心に戦いを開始し、アドルフ・ヒトラーが築いた帝国の崩壊を早め、黒王が率いるジャンヌダルクやラスプーチン、土方歳三らとの壮絶な戦いを繰り広げます。様々な時代や国の英雄戦士たちが出てくるのは、悲運の死を遂げる直後、彼等を一つの異次元に転生させ、異世界の覇権をきそわせる物語だからです。登場する卓越した異能者たちが、それぞれのスキルや信条を行動原理として活躍します。島津豊久と織田信長対謎の黒王軍の2大勢力の国盗り合戦は、様々な時代の戦略を交えて展開され、物語は混沌としていきます。まだまだ物語は継続中です。

史実に基づいた物語ではありません。しかし織田信長自身が、自分の戦略の本質を語ったり、自らの失敗を述懐しよりよい戦い方を考案する姿を通して、歴史の時代背景やその時代で重要視されていた共通の価値観などを俯瞰的に学べます。戦略の本質をハンニバルの何気ない言葉から読み取る展開も面白く、洋の東西を問わず、戦いではひらめきと決断のスピードが求められるのだと考えさせられました。決断の次には結果と責任が出てきます。この物語に出てくる人物は、みんな自分の生き方に悔いややり残してきたものを抱えています。そのため、この世界の中では悔いなく戦い抜くために常に全力で戦います。その姿が、それぞれの時代背景を浮き彫りにします。歴史の面白さを教えてくれる物語です。

 

7人のシェイクスピア NON SANZ DROIC

当時の中性イギリスの歴史背景をきっちり書いた作品

リヴァプールの塩商人ランス・カーターことウィリアム・シェイクスピアは、一人の黒髪の少女リーと出会う。ランスの商才とウィリアムの脚本とリーの詩で書かれた芝居の脚本は徐々に人々の注目を集めロンドンに行く事になる。ロンドンで牧師のミル、アンとケインの親子も加えた6人で共同生活すると共に行商人トマスソープを加えた七人が力をあわせてシェイクスピアのシナリオを作っていく。シェイクスピアの作品は評判をあげていくと共にその名声はエリザベス女王の元に届く。りーの将来を見る事が出来る特殊能力を使って女王を占うなどシェイクスピアの周辺はどんどん歴史の渦に巻き込まれていくのであった。

作品が発表されるまで出自や生い立ちが不明のシェイクスピアについて実は七人の共同作業によって作品が作られていたという大胆な仮説の元に作られた作品です。ストーリーテラーのハロルド作石さんによって非常にドラマチックにかかれています。七人のシェイクスピアが次第に演劇界を席巻していく様も興味深いストーリーになってますがこの作品の素晴らしさは当時の歴史背景をきっちり描いていることです。身分制度はもちろんの事、キリスト教のカトリックとギリシア正教との確執や中国人の差別問題などをしっかり描いている事です。シェイクスピアが成功する背景が歴史の複雑さもしっかりかかれていてとても興味深い作品にもなっています。

 

逃げ上手の若君

逃げて天下を取り戻せ!小さき英雄の物語

鎌倉幕府の跡継ぎ、北条時行。後継者として期待されるべき彼は、日々稽古から逃げ回り、怠惰で臆病な若君と評されていた。いつものように稽古をさぼっていたある日、時行の前に未来が見えるという信濃国の神官、諏訪頼重が現れる――貴方様は、天を揺るがす英雄となられまする。時は1333年、忠義の武士と名高かった足利尊氏の謀反により幕府は滅亡。家族も家臣も、全てを失った時行の前に再び頼重が現れる。絶望に沈み死を渇望していた時行はしかし、頼重に背中を押され「生」への執着を自覚する。死の淵で発揮される逃げの才能を活かし、生き延びることで天下を取り返すことを決意した時行は、頼重と共に英雄への道を踏み出した!

潔く死ぬことが美徳とされていた当時の武士にあるまじき、生き延びることを第一とする時行の行動は読んでいて痛快で、テンポよく読み進めることができます。舞台が南北朝時代ということで、鎌倉と室町の間の激動の歴史を漫画で楽しく学ぶこともでき、迫力ある戦闘シーンから時行が生きる時代の厳しさを肌身に感じることができます。また、頼重とその仲間たちにユーモアが溢れており、時行の境遇の重さが吹っ飛ぶような面白おかしいやり取りにクスっとさせられる場面も多々!そんな仲間たちと絆を深めながら、強大な敵に立ち向かう姿に勇気を貰える作品です!

 

信長協奏曲

タイムスリップで信長に?!

高校生のサブローは、学校帰りに塀から落ちて、なんと戦国時代にタイムスリップ!落ちた先は、サブローそっくりな本物の信長の上。自分の運命を嘆いて逃亡中だった信長は、自分にそっくりなサブローに"信長"を押し付けて逃げて行きました。「これ何の撮影?」と呑気なサブローは、池田恒興に連れて帰られます。顔はそっくりでも性格の全く異なるサブローに、周囲の人は「うつけになった」と嘆きます。全く勉強のできなかったサブローは、織田信長の名前は分かるものの、何で有名なのか曖昧です。確か天下を取ったような…と歴史への理解が乏しいサブローは意図せず戦乱の流れへと巻き込まれていく。

サブローはとにかく"軽い"!考えも浅いし、行動も軽薄で、身も軽い。そこがサブローの短所であり、長所でもあり、読んでいて笑みがこぼれます。サブローは、周りの武将たちのこともあだ名で呼び、とてもフレンドリーに接します。他のマンガでは武将は無骨に描かれていたり、孤高に描かれていたりしますが、とても身近に感じます。天下を取るためには人手が足りないと、あっちこっちでスカウトしたり、そのフットワークの軽さで、敵を倒したり。スピード感ある話の展開に、読んでて清々しいです。それだけでなく、忠臣と言われている羽柴秀吉が、実は腹黒い考えを持っていたり、続きが気になりどんどんのめり込みます。

 

信長のシェフ

現代の料理人がタイムスリップして出会う織田信長との物語

戦国時代で目覚めた主人公ケンは記憶を失っていた。そして野党に追われるところから物語は始まる。野党に追われ川に飛び込んで逃げたケンを助けたのは刀鍛冶の夏だった。夏の家でケンは意識を取り戻すが、自分が何者なのか名前すら思い出せないのに、現代の料理に関してだけは覚えていて、何故か現代から戦国時代にタイムスリップしたのだと自覚する。夏の住む長屋で体を治しながら、近所に料理を振る舞っていたのだが、それが評判になり、やがて織田信長の耳にも入る事になる。料理の腕を見込まれ、現代の知識を持ったケンが信長の直属の料理人として雇われることになり、物語は進んでいく。

現代の料理器具もない、調味料もない戦国時代の世にタイムスリップしたケンが、何故か残っている現代の料理知識を駆使し、創意工夫をしながら信長たち戦国の武将たちに料理を作っていくのだが、その料理を作る事で培う戦国の世での自分の役目。いきなり現代の料理を食すことで感動していく戦国武将達が織りなす物語。現代の人間であるケンが初めて味わう戦場での命のやり取りとその恐怖。後に戦国の世を制定する織田信長という真の武将の目的。そしてその周りを取り囲む豊臣秀吉、徳川家康、明智光秀等の家臣達とのそれぞれに対するストーリーは毎回ハラハラドキドキのオンパレード。現代の世では、本能寺の変で命を落とすはずの織田信長は、現代人ケンと関係する事でどう歴史が変わっていくのか。そしてケンの記憶はどうなっていくのかが見所です。

 

信長を殺した男~本能寺の変 431年目の真実~

明智光秀の子孫が描く真実の物語

戦国最大のミステリーである「本能寺の変」の真実について明智光秀伝承の会事務局所属の明智憲三郎が著者である。明智光秀が織田信長の逆賊として後に豊臣秀吉として天下統一を成し遂げる羽柴秀吉が討ち取るところから物語は始まる。光秀を討ち取った秀吉はその4ヶ月後お抱えの御伽衆に「本能寺の変」の顛末である『惟任退治記』を書かせ公式発表したことで、後の世に真実の物語として広まったのだ。秀吉は英雄として、光秀は逆賊として歴史の真実が書き換えられたのだ。非業の死を遂げた明智光秀であるが、阻止した信長の企てとは。裏切り秀吉の内通者となった男とは。最後まで援軍を頼った男の深い関わりとは。『本能寺の変』を起こした真実の動機とは一体。そもそも明智光秀とは何者だったのか。431年目の真実を追う物語だ。

授業や歴史の資料で知っていた内容とは全く内容がかけ離れており、とても魅力的な作品だと思います。今まで織田信長を暗殺した男、歴史物のゲームでも冷たい男や変に癖がある男だと描かれていることが多いためマイナスのイメージしか持っていなかったこの作品を読むことによってその印象ががらりと変わります。まず明智光秀という男はとても仲間思いであること。織田信長に自分の立場など関係なく進言するシーンはドキドキしながら見てしまうと思います。また、とても戦上手であるということ。光秀がいなければ勝つことができなかった戦は確実にいくつかあるだろうと思ってしまいます。

 

花の慶次 -雲のかなたに-

戦国一の快男児・前田慶次の熱い生き様!

物語の舞台は戦国、日本各地を名だたる英雄たちが群雄割拠していた戦乱の時代より少し後。織田信長の元で徐々に頭角を現していた秀吉が、信長亡き後に天下人の地位に登りつめようとしていた頃。主人公である前田慶次は秀吉に仕える家臣・前田利家の甥で、史実上でも戦国一の傾奇者(かぶきもの)と言われた男。傾奇者とは華やかで目立つ装いを好み常軌を逸脱した行いに走る変わり者、といった意味で使われる言葉ですが、そんな傾奇者である慶次の華やかで刹那的でありながらも戦国時代を生きる男としての芯の通った豪胆な生き方や、当時を生きた様々な人間たちとの出会い、別れ、怒り、悲しみ、喜び、といった人間模様がドラマチックかつダイナミックに描かれた作品です!

なんといっても主人公・前田慶次の人間としての生き様がこれ以上ないほどに爽やかに、華やかに描かれているところ。強いものに巻かれるのを嫌い、まるで風や雲のように自由に飄々と生きる彼の姿は現代の日本に生きる我々から見れば何とも羨ましく憧れてしまうような存在ですが、友のため、愛する女のため、自分の信念のために命を惜しむことなく戦場に駆け出す姿には、男として、武士としての潔い生き様が感じられます。登場人物は実在の有無に関わらず一人一人にしっかりと感情移入できるポイントがあり、その深い人間ドラマにページをめくる指が止まらなくなってしまいます。土埃と汗の舞う様子が想像できるような勢いのある戦場でのシーンや、慶次のたくさんの女性たちとのラブロマンスなど、見どころでいっぱいです!

 

東独にいた

東西冷戦下の東ドイツを舞台に敵味方に分かれた男女の恋と闘争の物語

1985年の東ドイツ。アナは日系人の本屋を営むユキロウに恋心を抱き足繁く本屋に通っていた。東ドイツでは国家が国民を監視していた。体制を守るため、人体改造を加えた特殊部隊を組織し、反体制組織撲滅にあたっていた。実はアナの正体は身体的改造を加えられた特殊部隊MSGに所属する戦闘員で、その戦闘力は素手で対象を抹殺することが可能。そして、彼女の愛するユキロウは「フレンダー」と呼ばれる反体制組織のリーダーだった。そうとは知らず彼を愛するアナ。アナの正体を知りながらも接触を続けるユキロウ。共産体制への不満が高まる中、敵味方に分かれて闘うことになった二人の恋と闘争が始まった。

東西冷戦時代という歴史的背景に、当時の共産国で行われていたと噂の身体改造の特殊部隊や、監視体制が敷かれた国家からの反逆というモチーフが歴史好きにはたまらりません。そこに敵味方に分かれた男女の恋愛を加え、双方の立場や組織を両面から描いていくことで、特殊部隊・反体制組織両方の登場人物に感情移入しやすくなっています。また、強化人間対反体制組織の攻防は、圧倒的な攻撃力に、頭脳を駆使した総力戦で挑むところが見どころです。東西に別れた冷戦時代を舞台にしているため、東ドイツ崩壊という歴史の流れは決まっているものの、2つの組織の攻防戦は拮抗し、どちらが勝つか本当にわかりません。はたして主人公2人は生き残れて思いを遂げることができるのか?!

 

ヒストリエ

「寄生獣」の岩明均が描く、アレクサンドロス大王の書記官エウメネスの波乱の生涯!

舞台は、紀元前の古代ギリシア。ヨーロッパや小アジアの征服者アレクサンドロス大王に仕えた、実在の書記官エウメネスの波乱万丈の生涯を、巧みな筆致で描き出す。久し振りに故郷の都市国家カルディアに帰国した青年エウメネスは、住んでいた邸が廃墟になっているのを見て、幼い頃を回想する。彼は有力者の次男で、書物が好きな、ちょっと狡猾さを持ちあわせた子供だった。時たま見る夢は、ひとりの女性が華麗な剣捌きで男たちを切り倒していくというもの。しかし深く気にすることもなく、父親には学者になることを期待され、順風満帆な生活を送っていた。だが、父親の腹心の男の姦計で運命は大きく回り出す。エウメネスは奴隷の身に落とされ、商人に売り飛ばされ、船に乗せられて故郷を離れる。その船上では、思いもかけぬ事態が起きる!

「寄生獣」で名を轟かせた岩明仁氏の作品。序盤から、伏線が網の目の如くに張り巡らされ、小気味よく回収されていくのは、さすがと唸るしかない。まだまだ未回収の伏線があるので、目を離す隙がない。朴訥な線で描かれたキャラクターたちの表情は、とにかく素晴らしい。エウメネスの飄々とした青年の顔、策謀家としての顔の描き分けは見事だ。この作品に登場するキャラクターの歴史的年表は、動かすことは出来ない。エウメネスの行く末を、岩明氏がどう描くか、ヤキモキしながら見守るしかない。しかし連載開始から18年が経過した現在も、物語全体の半分にも達していないだろう。読者も、覚悟して望まねばならない作品のひとつだ。

 

卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-

独自な視点から描く、狡猾な卑弥呼像

はるか昔。日向の国は襲撃を受け、ヤノハという少女だけが生き残ります。偶然訪ねてきていた暈の国の人々に拾われ、種智院という育成所で暮らすことに。戦闘術に長けていたヤノハは戦女としての教育を受けるのですが、戦女の末路は厳しいものだと知るのでした。そこでヤノハは生きるために巫女としての才能があるかのように振る舞います。元々義母が巫女のような立場であったため、ヤノハにとってそれは容易いこと。見事に祈女と立場が変わります。しかし、彼女が「生きる」ためにはまだまだ足りないものが多く……。友すらも手にかけ「日見子」となるべく計略を図ります。動乱の時代を生き抜こうとするヤノハの物語です。

ヤノハの人物像がとにかく面白いです。生き残るためならなんでもやってしまうという狡猾さが嫌味なく描かれています。日見子になるために親友となったモモソを殺してしまいます。モモソは次期日見子候補であった女性。そんな彼女が時折ヤノハの前に幻覚のように現れてくるのも見どころ。様々な国の思惑を見越し、巧みに時代を生き抜く姿が読んでいて痛快です。卑弥呼を扱った作品は、彼女の神秘性に触れられていることがほとんど。しかし、本作では血の通ったひとりの人間。かつ才気に長けたひとりの女性として描かれているのがいいです。彼女をとりまく人々も個性たっぷり。史実として読むより「新解釈」として読むのがおすすめです。

 

百人遊女

吉原に生きる人々。華麗で過酷なその人生。

舞台は江戸・吉原。そこには数多くの遊女たちが暮らしています。己の運命に嘆くもの、巧みに生き抜こうとするもの。そんな遊女たちの華麗で、そして過酷な人生が描かれています。また、吉原に通う町人たちや、そこで働く男たち。彼らもまた、それぞれの人生があるのでした。中には丁稚奉公で主人についてくるだけの者もいます。ほんの悪戯心で、そんな奉公人に遊女をあてがう主人もいたりして。吉原を舞台とし、百人いれば百通りの人生を華やかな絵柄で描いています。物語は一話完結。流石に百話はありませんが、数多くの遊女たちや男たちの姿の物語です。

作者の坂辺周一さんは、女性を描くのがとても巧みな方。この当時を描くとなると、髪型などがどうしてもおなじになり、人物の見分けがつきにくくなりがちです。しかし、それぞれの女性たちをきちんと描き分けている点がいいです。ところどころに当時の吉原の文化についてのコラムもあり、参考資料としても秀逸。興味深かったのは、朝に遊女たちが前夜の客が残した食べ物を煮炊きして雑炊にしているシーン。なんとも所帯じみたシーンですが、なぜ彼女たちがそうしているのかを考えてみるといいかと思います。遊郭で出される食事が不足しているからですね。他にも細かい場面で当時の風俗や習慣を見ることができる作品です。

 

ふしぎの国のバード

明治初期、英国人女性冒険家バードが見た「ふしぎの国」日本!

時は明治初期、英国人女性冒険家のバードが通訳の伊藤鶴吉とともに、横浜から最北の地・蝦夷ヶ島のアイヌの集落を目指しながら記録を残す旅のお話です。しかも、街道や宿場町が整っている太平洋側の道ではなく、西洋人がほとんど足を踏み入れたことのない日本海側の小さな街道を通る前代未聞の旅です。道中、バードが触れ合う、当時の日本=「(バードから見たら)ふしぎの国」の風習や服や食の文化、またそこで出会う人々が描かれます。19~20世紀初期に実在した女性冒険家イザベラ・バードの『日本奥地紀行』をもとにしたフィクションだそうです。

バードさん目線で描かれる、明治当時の日本人の姿が興味深いです。バードさんに話しかけてくる日本人の言葉が崩し字風になっているため、伊藤さんが通訳しないと読者も何を言っているのかわからないようになっているので、一緒に「ふしぎの国」を旅している気分になります。明治初期の和洋折衷の服や建物、人力車夫や女の子の髪上げの話、混浴の話等々今の日本人は知らない文化や風習の話、また山村の貧困や不衛生・病気等厳しい話も紹介されます。はじめは不愛想だった通訳の伊藤(イト)さんが、だんだんとバードさんと信頼し合うようになっていく様子も微笑ましいです。またバードさんの好奇心、持病や困難に負けない強い意志に感心させられます。

 

ふることふひと

古事記誕生物語をユニークな視点から

古代、飛鳥の宮。そこで働く役人・中臣史はある秘密を持っています。ある時彼に時の大王、のちに天武天皇と呼ばれる偉大な人物から密命が下りました。それは「この国の物語を記せ」とのことでした。史は幼少のころからそれについて学んでおり、なにも読まずとも暗誦できるほど。しかし、その史書に自身の名を残したくなかった史は、ある条件の元にそれを作ることにします。その条件は彼が別の人物になりすまして、同じく役人の太安萬侶とともに作成するということでした。史は、なんと女装し稗田阿礼と名乗り、古事記「ふることふみ」を編むことになります。

実際には古事記編纂には史、つまり藤原不比等は関連していないと考えられていますが、そこを上手くアレンジしているのが面白いです。女装してしまうというところもなかなかにユニーク。稗田阿礼は女性か男性かは不明なのですが、本作では女性説をとっているようです。一連のあらすじのみをみると、古事記編纂について独特の視点になっています。言ってみれば「トンデモ設定」とも言えそうなこの設定。しかし、史実と上手く絡み合わせているのがいいです。史の父親についての説なども天智天皇の落胤説を取り上げています。また、古事記編纂の意図などもしっかりと描かれているのが好感触。古事記編纂にまつわる物語の一説として、面白い作品です。

 

へうげもの

数奇か武芸か、出世か物欲か。戦国時代を芸術の視点から描く笑いと感動の漫画

織田信長の家臣の古田佐介。武人としてそれなりの実力と気概を持っていますが、同時に茶器など芸術を見定める目ももっており、武人としての出世か、芸術品を所有したい物欲か、常に揺れ動いています。そんな古田佐介が、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康など、有名な人物や事件に関わりながら、文化や芸術を愛する「数寄者(すきもの)」のとして、激道の戦国時代を生き抜くお話です。特に前半は、茶道の師匠である千利休の目指す、わびの美をめぐり、信長、光秀、秀吉、家康が暗闘を繰り広げながら、その中で、時に武人として、時に数寄者として歴史的事件に関わりながら活躍する話しは、見応え充分。後世に伝えられる歴史事実を覆す驚きの展開もあります。後半は、秀吉亡き後に豊臣家を守るため家康と対峙します。こちらも見応え充分です。

戦国時代と言えば、戦国武将達が天下の覇権を握るために知略や武力を駆使するお話しが多いですが、主人公の古田佐介(後の織部)は、千利休の弟子として芸術の力も知略や武力と同じくらいに世の中を動かす力がある事を証明していきます。そして、数寄者という芸術の力を理解する信長や秀吉、逆に華美な事を嫌い数寄者を敵視する家康という人物像が、古田佐介の生き様に大きく影響して行く設定がとても面白いです。とはいえ、殺伐とした内容ばかりではなく、主人公の古田佐介は人間臭くて、下ネタも好きで、いい加減なところもあり、笑いの要素もたくさん入っていますので、漫画としても読み応えが充分です。歴史事実は決まっていますが、その中で古田佐介がどのように生きたか読者の納得出来るオチになっているのも良い点です。

 

マリー・アントワネット

皇太子妃時代のマリーアントワネット、可憐な姿が魅力的

オーストリアの皇女・アントーニアは多くの兄弟に愛され、伸び伸びと暮らしていました。美しく成長したアントーニアに届いた結婚の話。それはいわば政略結婚でした。オーストリアとフランスの同盟関係を結びたいとの意向で、アントーニアはフランスへと嫁ぐことになります。途中、国境で正式に婚約の手続きをします。そこでアントーニアは名前をフランス語読みのアントワネットとなったのです。不安をいだきながら王宮にたどり着いた彼女。国王・ルイ15世は少女のような可憐なマリーをみて喜びます。しかし、一方で彼女の夫となる王太子・オーギュストは内心戸惑っていました。彼のもとに届いていたマリーの肖像画は大人のように描かれていたからです。初めは感情の齟齬もあったふたりですが、やがて穏やかな日々を暮らすことになります。

本書を読んで真っ先に目に入ったのはマリーの美しい首。このシーンは大人となったマリーの姿。やがて断頭台で落とされるその首が美しい筆致で描かれています。物語はそこからさかのぼり、マリーが皇太子妃であった時代が中心となっています。マリーアントワネットというと、革命によって断罪された悲劇の王妃の物語が多いです。しかし、本作ではあえてそこを描かず、皇太子妃時代を描いているのがポイント。可憐で人を疑うことも知らなかったマリーですが……。その純粋さは後の悲劇へと繋がっていくことになります。マリーアントワネットを描いた作品としては興味深い視点の作品です。

 

満州アヘンスクワッド

戦前の満州を舞台にしたアヘンをめぐる闘争劇

昭和12年。当時日本の植民地であった中国東北部・満州で、主人公の勇は兵士ととして従軍中に片目を失明。その代わりに嗅覚が以上に発達した。その嗅覚を活かして病気の母を助けるために純度の高い「真アヘン」を作り出し、中国の秘密結社・青幇に売り込むが、逆に捕まってしまう。しかし、そこに現れた謎の美女・麗華に助けられ、利害の一致した二人はアヘンの製造・販売を始めるが、関東軍、青幇、ロシアギャングなどさまざまな敵が彼らを狙う。広大な満州を旅しながら次第に仲間と販路を拡大する勇たちは、この満州で生き残ることができるのか。

主人公側も犯罪者というクライム・サスペンスではありますが、主人公の生い立ちや境遇から、つい彼らを応援したくなります。また、アヘン売人の少女やロシア人用心棒など、次々に多国籍な仲間を増やしていくところが、多民族が入り混じった満州らしい展開だと思います。これが現代の設定だと普通の青年系のクライム・サスペンス漫画なのですが、設定を戦前の中国にして、歴史上の人物を絡めることで、当時の歴史や文化、社会情勢を知ることもできて物語に深みを与えていて、歴史好きにも楽しめる物語です。こうした漫画はどうしても殺人や拷問。性描写が過激になりがちで読みづらいのですが、この漫画は描写がエグすぎない上品さがあって、エログロが苦手な女性にもおすすめです。

 

ミツナリズム

激動の時代、今日も三成は走る!

豊臣秀吉の天下統一がまさしく終盤にかかる頃のこと、家臣の中には、戦に出たら真っ先にやられそうな男がいた。その男の名は、石田三成。派手に活躍し多くの俸禄を手にする者たちの中、物怖じすることなく、また友の心配もよそに、三成は己の…思うことを発信し行動する!だが、そんな三成の働きは豊臣の天下を推し進める一翼でもあった!?豊臣の天下統一、そしてその先の平和に向けて、個性あふれる家臣たちは何を考え、どう行動するのか、そしてなぜそうなるのか!?今日も全力疾走!石田三成とその仲間たちによる痛快ヒストリー、乞うご期待!!

石田三成という堅物で真面目な印象の武将が、まさしくそのままであるにもかかわらず、ここまで親しみやすくコメディに表現されていることで、現代の、すぐそこにいる人のように感じられます。それによって、遠い昔の主従関係などが現代の職場とリンクするように感じられ、職場の人間関係をギャグに置き換えやすくなり、よってストレスの対処策になるかもしれません!コメディ要素が強いかと思いきや、ふとしたところで発せられるセリフに、物事の真髄のようなものを見たり、悲しい現実や不条理も描かれ、その中で友や仲間たちの存在がいかに大きいものになるか、という大事な教訓を学ぶようなところもあって、ただ面白いだけでないところが興味深いです。

 

天智と天武

「お前を殺すのは俺だ!」飛鳥時代に巻き起こった日本最大の兄弟ゲンカ!

舞台は飛鳥時代。中大兄皇子はその母である女帝・斉明天皇の愛情不足で歪んだ性格に育った子供でした。そんな彼の少年時代の寂しさを埋めてくれたのは、ある日出会った蘇我入鹿という凛々しい青年。兄のような父のような入鹿と日々を過ごすうちに入鹿に対して憧憬や尊敬以上の恋慕にも似た気持ちを抱き始める中大兄でしたが、そんな彼が実は母・斉明天皇の愛人であること、母との間の隠し子の存在を知ってしまい…その日から中大兄にとって入鹿は憎悪の対象へと成り果ててしまいました。その後、成長した中大兄は中臣鎌足と出会い、かの有名な乙巳の変を巻き起こして入鹿の命を奪います。しかし数年後、入鹿を討ち愛憎を清算した筈の中大兄の前に入鹿と同じ顔の男が現れ……!?

その男の正体こそ、母・斉明天皇と入鹿の間に産まれた子供、中大兄にとっては弟でもある大海人皇子だったのです。母と入鹿の愛情を独占した憎き大海人、父を殺した仇である中大兄。母を同じくした兄弟でありながら、お互いを憎み合い、騙し合い、隙あらば命さえ狙い合う二人の様子はまさに日本最大の兄弟ゲンカ。長い年月をそうして過ごした二人の憎悪はいつしか愛憎へと変わり、時にはお互いの命を救い合うことも。心の底から憎いのに何故か惹かれ合ってしまうのは血が繋がっているからか、それとも……。歴史上起こった事件もしっかりと描かれており、「もしかして本当にこんなことがあったのかも」と思わせるようなストーリー。愛憎交じり合う長い長い兄弟ゲンカの結末や、いかに!

 

雪花の虎

分かりやすく、面白い!浪漫ある戦国武将の女性説。

戦国時代に活躍した有名武将、上杉謙信が女性だったのではないか?という仮説をコミック化したもの。冒頭の解説部分には、あくまで仮説であることや、その仮説の根拠となる点を上げつつ、歴史が苦手な人の為のカンタン解説と、詳しく知りたい人の為の解説、親切にも2パターンの解説が用意されている。享禄2年、越後にて長尾為景に女児が産まれる。嫡男の晴景は病気がちな為、男児を期待していた為景は失望する。そこで為景は「この子を姫武将として育てる」と決意。虎千代と名付けられ、兄とは違い健康にお転婆に育つ。やがて、兄が家督を継ぐが、若い晴景を侮る家臣が謀反を起こし……時代に翻弄され、性別を偽らなくてはならなかった1人の女性の物語。

戦国武将の女性説とは、なんと浪漫あふれるストーリーなんだろうかと手にしたのがキッカケでした。読み進めていくほど、本当に上杉謙信の女性説が濃厚に思えてしまう。実際に赤い花模様の衣類が残っていること、戦の途中にも関わらず撤退し毎月十日前後、部屋に引きこもったことなど、もう確定では…と思ってしまう。ストーリー的に虎千代の恋の行方も気になるが、個人的に好きなのは長男の晴景が小鼓をポポンとノンキに叩くところ。こんなにノンキな人では無いと思うけれど、この作者ならではのキャラクターの良さも、しっかりと出ていて楽しめる漫画です。

 

劉邦

土竜の唄の高橋のぼるが描く『項羽と劉邦』

『劉邦』は土竜の唄で有名な高橋のぼる先生により2017年7月よりビッグコミックに連載される中国古代の漢(前漢)の太祖劉邦が青年期からに皇帝にまで成りあがっていく姿を描いた漫画で現在は第10巻まで刊行されています。劉邦という人物は多くの作品で題材として取り扱われるように古代中国史においては重要かつ著名な人物で武力や知力よりも人徳で皇帝になった親分肌の豪快な人物として多くは描かれています。かたやそのライバルとなる項羽は知勇兼備の将として力を奮いますが自身の冷徹さが災いし四面楚歌の元となった最期の戦いで味方にも裏切られ散っていくという人物として知られています。その二人の対極的な人物像がもたらす一進一退の力関係を劉邦を主人公に高橋のぼる先生がコミカルな表現で描くのが本作品であります。

見どころは女たらしでどこか粗暴な劉邦が豪快な手段でのし上がっていく様相が高橋のぼる先生によってコミカルに描かれているところ、かつ項羽の完全無欠感が随所であらわれるところが見どころで、史実でも有名な鴻門の会を描くシーンは結果を知りつつもワクワクさせられます。ただ個人的な見どころは秦の始皇帝の表現で、『キングダム』を読んだ後にこの漫画を見ると本当に同一人物かと笑うほど本作品の始皇帝は化け物的に描かれており、最後の崩御シーンはあまりにも残酷で笑います。キングダムの政も本作品の始皇帝もどちらも正解なのでしょうがキングダムでしか始皇帝を知らない人は晩年の始皇帝の姿をこの漫画で知ってほしいと思います。

 

るろうに剣心

「不殺」最強の剣客、現る!

現在映画も大ヒット中の言わずと知れた名作。幕末から明治にかけて生きる伝説の剣豪「人斬り抜刀斎」こと「緋村剣心」。文明開化が進む明治時代、新政府となった日本では廃刀令が敷かれ、剣術も廃れていきます。そんな中、剣心は「不殺」の誓いを立てた剣豪として、あてもなく流浪していました。そんな旅の先に、神谷薫を始めとする多くの仲間たちに出会うことで、自分の居場所を見出します。過去に数えきれないほど多くの人を斬り、命を奪う戦争を経験してきたことによって、心に大きな傷を負っていた剣心。その重い罪を償うため、仲間たちを守るため、新たな時代を奮闘しながら生きていく剣客の物語。

実際に起こった史実をベースにしたフィクションです。日本が揺れるような激動の幕末を、ただ必死で生き抜いて来た若き頃の剣心。時代が変わって戦争が終わっても、罪の意識が変わることはなく、複雑で孤独な気持ちを抱えたまま旅をします。薫を始めとした「仲間たち」、そして新たに築く「平和な日本」という「希望」が、そんな彼を少しずつ変え、動かしていきます。繊細な剣心の心模様は見どころです。時には不殺の誓いを破りそうになることもあるものの、以前の人斬り抜刀斎に戻ることを許さず、ともに誓いを守りながら闘ってくれる仲間たちとの絆も必見です。そんな剣心が、新しい時代をどう生きていくのかぜひご覧ください。

 

我が名はネロ

悪名高い皇帝はいかにして残酷な人間へとなったか・・

紀元54年のローマ帝国。後に皇帝となる青年ネロの実母アグリッピーナーは再婚相手である第四代皇帝クラディウスを暗殺し、自らの子を第五代皇帝へと即位させる。後にその残忍性により悪名高い皇帝ネロの誕生である。当初は母親の言いなりであり、家庭教師であるセネカから熱心に教育を受けるネロであったが帝位とその環境により徐々に性格が変わっていく。奴隷剣士であったレムスを寵愛し、取り巻きと豪勢な生活を楽しむネロ。しかし、母親の権利欲に嫌気がさしたのを切欠に実母を暗殺し、敬愛するセネカも手にかける。ネロ帝は徐々に自身の闇に飲まれて行き・・

誰でも一度は名前を聞いたことのある「ネロ帝」を主人公とした作品です。皇帝として有名な人物ですが、意外と世界史の中で取り扱われることが少ないんですよね。比較的掘り下げる世界史Bの教科書でも参考書でもネロ帝にさいているページは少なかった記憶があります。そのネロの生い立ちに迫ったものが本作品です。やはり有名な皇帝だけあってエピソードがどれも驚くような内容となっています。別の側面からみると、ネロ帝は「民衆から愛されていた」とする資料もありますが(事実彼の墓石には花が絶えなかったとか・・)、本作品は「暴君ネロ帝」として描かれています。しかし、なぜかとても魅力的に見えるんですよね。残酷、しかしカリスマ性を感じる。あやふやに想像していたネロ帝の姿がここにあります。

 

最後に:おすすめの歴史漫画50選

今回はおすすめの歴史漫画を紹介していきました!

個人的には幕末時代と昭和初期の歴史漫画が大好きです。

気になる作品があれば是非チェックしてみて下さい!

-歴史, 青年漫画