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歴史ものの少女漫画おすすめ34選!激動の時代を往く少女達の物語!

2021年4月28日

こんにちは、みけさんです!

今回はおすすめ歴史ものの少女漫画を紹介していきます!

時空を超えて過去に飛ばされるものから、過去の時代を生き抜いた少女達の物語まで様々な歴史を題材にした少女漫画を集めてみました!

また、ストーリーの内容も歴史を交えた愉快な作品から、斬新な設定の面白い少女漫画まで様々です!

歴史好きには堪らない作品ばかりになっているので是非お楽しみ下さい!

それでは、行ってみよう!
【2022年版】おすすめ少女漫画100選!胸キュンが止まらない!

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歴史ものの少女漫画おすすめ34選

アシガール

若君一直線の平成少女

平成生まれの女子高校生・唯(ゆい)。勉強も部活もそれなり。弁当は女子らしさゼロの”おっさん弁当”。「彼氏」という言葉は彼女の辞書には存在しない。「足の速さ」だけが、唯一の取り柄だった。そんなある日、唯の弟・尊(たける)は、自宅の倉庫で”あるモノ”を試作していた。それは、刀型のタイムマシン。刀を抜くことで、タイムスリップしてしまうのだ。そんなこととはつゆ知らず、唯はその刀を抜き、タイムスリップ。気がつくと、キレイな満月。と思ったのも、つかの間。全く知らない男達に囲まれていた。殺されないように「足軽」に変装した唯は、なんとかその場を離れる。しかし、晩ご飯を食べずにタイムスリップした唯。空腹すぎて、目の前の毒キノコを食べそうになったその時、運命の相手・若君に出会うのであった。

「タイムスリップ」と「恋愛」が合わさった、歴史好き&少女漫画好きにはたまらない作品。作者は『高台家の人々』『ごくせん』の森本梢子さん。両作品とも、映画化・ドラマ化されている。タイトルの『アシガール』は”アシガル”の”ガール(女の子)”で、パンチが効いている。タイムスリップする時代は、歴史の王道・戦国時代。まず、ここが歴史好きにはたまらない。次に、女子高生が、ただタイムスリップするだけではないことも、魅力の1つだ。”アシガル”になって戦うのだ。愛する人を守るために。そういった、主人公・唯の”まっすぐさ”に心揺さぶられる。1人の人間の”純粋な恋心”の威力を感じる。本作品も、NHKでドラマ化されている。興味がある方は、見ていただければ幸いだ。

 

あすなろ坂

親子4代にわたる時代を超えた壮大な少女漫画

初めの舞台は江戸時代末期。主人公の「ふみ」は17歳で別の地の藩主の元へ嫁ぐ。その道中、付き添いとしてふみのお嫁入りを先導している幼馴染から長年秘めた思いを打ち明けられ、嫁入り前に一夜を共にしてしまう。嫁ぎ先の旦那様は優しく温かく、生まれた子供の出生に気づかないふりをして自分の子として大事に育ててくれ、やがて生まれた妹と共に4人での幸せな家庭ができていく。時代が移り、子供たちもそれぞれの試練を乗り越えながら家庭を築き、自分の信念を貫き、大切な人を守りながら子供、孫の代へと命を繋いでいく。ふみからみてひ孫の代まで続く時代を超えた少女漫画。

一人の女性がお嫁入りする場面から始まったストーリーが、こんなにも広がって時代も国も思想も超えて展開していくのかと驚かされます。昔の時代の人たちが、様々な葛藤や苦しみを乗り越えながら命をつないでくれたおかげで今の自分たちの世代があるのだと思わされる、一族の物語でした。登場人物がみんなそれぞれの個性を持っていて、譲れない価値観や信念のもとに極端とも思える決断をするのを見て辛く思う場面もありますが、こういう風に生きたい、自分が大事にするものを信じて堂々と道を進んで行きたいと思わせてくれる作品でした。それは、最初の主人公「ふみ」の時から変わらずこの漫画に込められたメッセージのような気がしました。

 

アトンの娘

ツタンカーメンの后の物語

王墓がほぼ完全な状態で見つかったことにより、史上もっとも有名なファラオとなったツタンカーメン。彼の后アンケセナーメンに視点を当てた作品です。幼い頃より仲の良かったふたり。彼らの名前はもともとはアトンという神の名から取られていました。これは彼らの父・アメンホテプ4世の宗教改革によるもの。アメン・ラー神が最高神であったその時代、神官は私腹を肥やし腐敗しきっていました。そこで新たな神として提唱したのがアトン。純粋な太陽神であるアトンを推し進めていたアメンホテプ4世でしたが、改革はうまくいきませんでした。同じくアトンを信仰していたネフェルティティとは次第に不仲に。彼らを見ていたアトンの名をもつふたりはやがて結婚し、父の遺志を継いでいこうとします。

古代エジプトの系譜はかなりややこしいです。当時は異母兄弟のみならず、父と娘が結婚することもあるほど。アメンホテプ4世はネフェルティティと離縁し、アンケセナーメン(作中ではエジプト読み表現)と結婚します。この辺りでの、ツタンカーメンとの心のすれ違いがとても痛々しいです。彼らはお互い秘密の愛称で呼び合うほどの仲。しかし、政治と時の流れは幼い彼らには厳しかったのです。紆余曲折あって結ばれたツタンカーメンとアンケセナーメン。まだ年若い彼らには父の遺志を継ぐのは困難を伴うものでした。気持ちがすれ違い、互いの想いを伝えられないアンケセナーメンの姿はとても切ないです。今から数千年前の物語ですが「愛」というのはいつの時代も変わらないものだと感じる作品です。

 

アルカサル-王城-

国王ドン・ペドロの熱い生涯!

ドン・ペドロはカスティリア国王と王妃とのあいだに生まれた長男。しかし国王は寵妃と、彼女のあいだに出来た子どもたちに愛情をかたむけていた。城の者たちも国王の愛情が薄いペドロとその母よりも、寵妃とその息子に取り入っていた。居心地の悪い城での生活の中、ペドロは年上の女性マリアに惹かれていく。マリアもペドロの愛を受け入れる。ある日、まだまだ健在と思われていた父王が急死。王と王妃の息子であるペドロが急遽王位につくことになる。ペドロにはマリアという大切な存在がいるものの、二人は結婚しているわけではなく、ペドロは王としてフランスの王女を妻に迎えねばならぬ立場となった。マリアと離れることはできないペドロは……!

カスティリア(現スペイン)に実在した国王ドン・ペドロの生涯が漫画で追えます。ペドロの孫の孫が、かのコロンブスの計画を承認した女王イザベラ1世です。壮大な歴史漫画としても、一人の一生を描いた人間ドラマとしても読むことのできる重厚な作品です。シリアスなストーリー内に時折はさみこまれるギャグがいい味だしています。ドン・ペドロも魅力的ですが、彼をとりまく人々(最愛の女性マリア、マリアとのあいだに生まれた子供たち、忠臣たちなどなど)も、とても人間味にあふれています。異母兄弟との熾烈な戦いもありますが、勧善懲悪ではなく、寵妃の子供たち側の心理描写も多く、読みごたえあります。

 

いいね!光源氏くん

源氏物語から飛び出した平安貴族が現代で暮らす

藤原沙織 27歳、雑貨メーカーの企画課で働いているOLだ。彼女は、部屋の模様替えのために買った簾をようやくカーテン変わりに取り付けた。その簾の向こうから人が来る。外はある程度階数のあるベランダなので、進入は考えられない。沙織はパニックになる。しばらくして落ち着いてから、突然現れた人を眺める。現れた人の格好は明らかに現代のものではない。歴史や古典の教科書で見る、まさに平安貴族。恐る恐る事情を聞いてみた。名は、光源氏という。夜道を歩いていたら、遠くに明かりが見えたから来てみたら沙織の部屋に繋がっていたとのこと。現代OLと平安貴族との不思議な共同生活が始まる。

過去から現代にタイムスリップしてきて定着するという話は、あるようでなかったので新鮮に感じました。長い烏帽子を絶対に外さないとか、感動したら即座に短歌を詠んじゃうとか、普通に街中でやられたら結構恥ずかしいなと思いながら読んでいました。でも、さすがは平安のプレイボーイ。優しさは山ほどありました。この後、光源氏を追ってきたというライバルの頭中将まで加わる。光源氏は短歌の講師として、頭中将はホストとして違和感がありつつも仕事をして、それなりに現代に馴染んでいるのがツボにハマりました。彼ら平安貴族は、元の時代に戻る気はあるのでしょうか。

 

一の食卓

新選組×グルメな美味しい歴史!

時は幕末から明治へ、所は江戸から東京へ。多くの日本人が身分の上下に関係なく時代の変化にとまどう明治4年。外国人居留地には「フェリパン舎」というパン屋があり、明はその店で働く少女。彼女は家族を上野戦争で亡くしており、まだ若いがパン作りに日夜情熱をそそいでいる。明が働くパン屋で、藤田五郎という男も働くことになる。実は彼は幕末にその名を轟かせた新選組の一員。しかも三番隊隊長、斎藤一だった。この人は怖そうに見えるが悪い人ではないと思う明。そして、斎藤一を心配し様子を見に来たのは、元・新選組十番隊組長、原田左之助だった。左之助はパンを「珍奇な物」と警戒しているようだが……!パン作りの豆知識も豊富なグルメ漫画であり、明治時代も生きた隊士たちのifな歴史物!

新選組の、実在した隊士たちが登場する漫画は、すでに名作が数多くありますが、この作品はなんといっても洋食×明治の文明開化×生き延びた隊士たちのその後と、いろいろな要素がまざりあい、それが見事に融合しているエンターテインメント歴史漫画です。実在した人物と架空のキャラクター、実際にあった出来事とフィクション、その折り合いもバランスがよく、どんどんページを進めることができました。幕末に華々しく散っていった新選組隊士をモチーフにした作品も良いですが、生きてその後の時代を見た者たちの物語も素晴らしいです。グルメ漫画であり歴史漫画でもある作品なので、明治期の食に関する薀蓄も見所。食以外の幕末・明治の混乱期には、実際にこんなことがありました、というトリビアも興味深いです!

 

嘘解きレトリック

「人のウソが聞き分けられる」少女の探偵劇!

時は昭和初年、人のウソを聞き分ける能力を持った少女・浦部鹿乃子は、その力のせいで疎まれ、生まれ故郷を出ることに。辿り着いた九十九屋町でぐうたらな貧乏探偵・祝(いわい)左右馬と出会い、その能力を買われて探偵助手の職に就くことに。方々に借金を作っては踏み倒しているだらしない左右馬だったが、その推理力はピカイチで数々の難事件を解決していく!そんな左右馬に憧れを抱きながらも、人の嘘と向き合うことで葛藤する鹿乃子。一方の左右馬もその頭の良さで邪険にされた過去があり、誠実な鹿乃子に心を開くようになる。2人はそれぞれ自分の能力に悩みを抱えながらも、次第にお互いを信頼するようになり、生きるとは何かを知るのだった。

鹿乃子は着物におかっぱ眼鏡という非常に地味な女性で、かつ能力を卑下して暗い性格だったのですが、九十九屋町での様々な出会いを通じて、自分の正義感や能力に正面から向き合うようになる様子には非常に感動しました。一方の左右馬も推理能力が高すぎるが故に周りに疎まれて、自己防衛のためだらしない性格になってしまったというのがとても悲しかったです。彼らのもとにやって来る数々の難事件も、左右馬が非常に分かりやすくカラクリを説明してくれるので読んでいてとても分かりやすかったです。鹿乃子と左右馬の関係性が次第に進展していく様も読んでいてとてもドキドキしました!

 

ヴェルサイユのシンデレラ

ロココで絢爛豪華なフランス王朝もの!

フランスの少年王ルイ15世はポーランドの元王女マリー・レクザンスカとの結婚を望む。マリーには好きな男性ラファエルがいたが、自分の恋はあきらめ、フランスの王妃となることに。マリーの父は現在はポーランド王ではなく、フランス宮廷内でマリーの立場は正式な王妃であるものの弱い。そんなマリーを助けるために彼女の女官となったのは…マリーの恋人だったラファエルだった。(ラファエルは元々ある事情から女装することが多い)ラファエルもルイも宮廷の悪意からマリーを必死に守ろうとする。だが、年若い国王がマリーに夢中なことをよく思わない相手は多く、マリーの宮廷生活はたくさんの問題をかかえていた。ヴェルサイユを舞台にした豪華なロココ漫画!

ヴェルサイユ宮殿、国王ルイ15世といえば、かの『ベルサイユのばら』を思いうかべるかたが多いのではないでしょうか。ベルばらもモチロン名作ですが、こちらも名作です。そして、この作品に登場するルイ15世はまだまだ若い少年王。史実でもルイ15世のアダ名は『美男王』だけあって少女漫画誌で連載されていたこの作品では、イケメンキャラクターとして登場。作者の名香智子先生はオモシロ歴史薀蓄も豊富に持っていて、そんな部分も魅力です。この作品はシリーズもので、マリーとルイ、そしてラファエルが登場する作品は『ヴェルサイユのシンデレラ』以外にもあります。そちらもオススメ!このシリーズは進めば進むほどフィクション色は薄くなり、史実エピソードが増えていきます。

 

N.Y.小町

街を歩けば騒ぎを起こす破天荒志乃の夢と恋に生きたロマコメの決定版

時は明治時代。小物問屋の若主人志乃。母親が早くに亡くなりあととりがいないので女の身でありながら男性として育てられていた。後ぞえのお千代さんと父親の間に男子が生まれると突然女性として生きろといわれ小さいころからさんざんいじめてきた幼馴染と結婚するよういわれてしまう。ダニーと出会いアメリカでは結婚も仕事も自分の意志で決められることを聞き、親のいいなりに生きなければならない日本に嫌気がさしN・Yに行くことを決意する。N・Y行きの汽車にのったつもりが北海道函館にいってしまったり、ダニーの夢のため三郎と結婚することにしそれを止めにきたダニーとすれ違いになってしまったり様々な困難に会いながら夢をかなえていくサクセスストーリー

志乃とダニーお互いにひかれあっているが、明治時代日本人と外国人の結婚は法的にゆるされていない。愛人としていっしょになるか、外国人のほうが自分の国をすてて日本人になるかの選択をせまられる。それ以外に障壁はある。志乃の父親はおさなじみ三郎との結婚を願い、家出をしたことを許しておらず、またダニーの両親もナネットという幼馴染と結婚してくれることをねがっている。それでも愛し合い、夫婦として認められるラブストーリー。持ち前の行動力でどんな困難も打ち勝っていく志乃。誠実で実直なダニー。まねき猫ポーズができるマスコット猫ポテ次。いじめられながらも小さいころから志乃の事を愛していた三郎。性格に難ありだが心優しい写真館主人変幻斎先生。個性的なキャラが物語を彩っていきめくっていくページがとまらない。

 

王家の紋章

この物語いつ終わるの?

エジプトの考古学研究が大好きな20代の金髪がきれいな、大富豪の娘が、ミイラの発掘作業をしているうちに、過去にタイムスリップしてしてしまします。多分モデルはツタンカーメンだと思うのですが、現在の発掘で見つかったミイラが過去でファラオとして生きているのに出会います。現在の知恵でいろいろやらかして目立ってしまった女の子はファラオと恋に落ちて、そばで過ごすことになります。未来が読めるという事で、諸外国の王たちにその身を狙われ、あちこちにさらわれていきます。女の子はファラオが若くして死ぬことを知っているので、何とかそれを阻止したくてそばについていたいのに、なかなかそうはいかないというあらすじで、かれこれ40年以上続いています。

読み始めたのは、私が小学校の頃ですので、もう40年以上も前の話です。自分もエジプト文明に興味があったので、この漫画を読みながら、エジプトだけでなく、その周囲の国々の歴史も知るきっかけになり、いい教科書でした。ですが、話がその当時から全く進んでいないのです。いつもどこかにさらわれて、それをいろんな人たちが手を尽くして助け出す繰り返しなのですが、もう少し話が進んで欲しいなというのが本音です。私の1年でまんがの世界は1日分というペースです。どうか、私が死ぬまでには話の決着を付けてほしいと願うばかりのこの頃です。

 

王妃マルゴ

中世を愛と官能に生きた王妃のビルドゥングス・ロマン!

16世紀フランス、王アンリ2世と正妻カトリーヌの間に生まれた王女マルグリット・ド・ヴァロワ(マルゴ)は、幼少期より生き生きとした美貌と官能性を表し、兄たちは魅了され、宮廷の大人は誹謗中傷し、母は末恐ろしいと警戒した。「清く正しく」育てられたマルゴだったが、初恋の美男の幼なじみ・ギーズ公と密かに愛し合い極秘に男の子を出産。しかしギーズ公は政敵のため別れさせられ、ナヴァルの王子アンリ(後のアンリ4世)と政略結婚させられてしまう。初恋に敗れ、愛を求め何人もの男を相手に官能を開花させ、ますます美しくなっていくマルゴ。王女という立場をもろともせず、自由に自分に誠実に、ただ愛のために、中世という乱世の時代をしたたかに生き抜いていく…

史実に基づいたフィクションであり、歴史を見ると物語の結末はすでにわかっているのですが、なぜその物事(サン・バルテルミの虐殺など)に至ったのか、それにともなう人物たちの心の動きなどが細やかに描かれていて、最後まで楽しく読めました。ギーズ公一筋の「清い乙女」が、なぜ溢れ出る官能のまま、何人もの男に身を任せる女性に変貌したのか。愛の対象を求めるため、時には自分の身を守るためでした。マルゴ以外にも保身のため「身体を張る」(なんとしても王の子どもを産みたい!とか)女性たちは何人も登場します。この時代の女たちの戦いも、とても興味深かったです。

 

大奥

男女逆転の大奥とは!?

江戸時代、男ばかりが掛かる赤面疱瘡という病気で男子の人口は激減した。男の子は子種を持つ宝として外出させないなど大切に育てられ、女が働き手となり家を継いでいった。江戸城内でも3代家光 以降、女子が将軍職を継いでいた。時は流れ8代吉宗の時代に。財政難を立て直すため役職など全てを見直していく。そんな折、水野というお目見え以下の者が大奥総取締 藤波の目に留まり、お中臈に抜擢される。将軍の大奥朝の総触れのため、着飾った男たちがお鈴廊下に並ぶ。その中には、黒の裃を着た水野も。お掻取りに足を取られた吉宗を笑った者を庇い水野が名乗り出る。吉宗は、夜に水野をと藤波に所望した。ご内証の方のしきたりを知った吉宗は水野を助ける術を探し、水野に新たな人生を与えた。

1巻は水野を二宮和也が、吉宗を柴咲コウが演じて映画化されている作品です。水野には好きな人がいたけど、家の財政難などがあり嫡子ではない自分は口減らしに大奥へ上がると決めたところは非常に辛い思いで読みました。せっかく両想いなのに…と。男女が逆転したとはいえ、大奥の中はイジメや嫉妬が渦巻いていて閉ざされた世界に入ると性別は関係ないのかなと感じました。一番恐ろしいと思ったのが、総取締 藤波の計画です。自分のお気に入りを守るために、そんな策を練っていたとは。2巻以降は、1巻から時代を遡り男女逆転の始まりからそれぞれの将軍たちの物語が描かれています。赤面疱瘡の種痘(ワクチン)が見付かったというところまで読みましたが、これによりこの世界がどう変わっていくのか続きが楽しみです。

 

オルフェウスの窓

人生に悲劇は起こる、それでも人生は進む

ドイツの音楽学校のピアノ科に通うユリウスは、由緒ある貴族の家の御曹司です。しかし、ユリウスは重大な秘密を抱えていて、それが発覚することを恐れながら学校生活を送っています。学校は男子校で、その中でユリウスの美貌は目立ち、皆、ユリウスに惹きつけられます。彼等も、実はロシアの革命活動家であったり、貧しいけれど、将来世界に名を轟かすであろう才能の持ち主だったりします。前半は音楽学校を舞台に、嫉妬や、恋、貧困、彼等の青春が描かれます。後半は舞台はロシアへ。恋人を追ってユリウスはロシアへ行きます。革命の嵐の中、ユリウスは一体どうなるのか?

音楽学校での競争、嫉妬、友情を垣間見ることができます。世界に名を轟かすピアニストでも、不幸に見舞われ、酒場のピアノ弾きに身を落とす事もあります。ユリウスは自分自身の秘密を抱えて苦しんでいますが、友達も貧困の中で、ライバルには嫌がらせを受けながら、必死に生活を送っています。人権侵害に対する保護や救済がない時代の悲惨さが伝わります。ロシア革命について、すごく勉強になります。レーニン、ボリシェヴィキ、ロシア貴族、怪僧ラスプーチンなど実在の人物についてわかります。ユスーポフ候はラスプーチンを暗殺した実在の人物で、物語ではすごく男前に描かれています。

 

陰陽師

ファンタジー要素を外すと、骨太な歴史考察に?!

夢枕獏原作ながら、原作超えと評価の高い岡野玲子の超大作です。短編の連なりが長編と響きあい螺旋とループを繰り返す幻想譚でもありますが、ベースの時代考証の見事さは脱帽ものです。物語の数年後に起こる安和の変の前兆が細やかに描かれたり、時を遡って、応天門の変の真相にたどり着いたり、二月堂のお水取りの真の理由について相棒の博雅に教えたり、天徳内裏歌合の裏と表舞台、藤原兼家、兼通兄弟のバトルなど、これでもかというほど平安前期の歴史の重要エピソードが嵌め込まれでいます。主人公の安倍晴明は、自在な魔術師であり、平安の雅で陰惨な闇の世界の調整者。親友の源博雅、謎の毒舌美少女真葛と共に、鬼の上前をはねていきます。

見所はまず平安時代の衣食住の緻密な表現です。オンとオフで衣装のドレスコードが厳格だった時代、一部の例外(主人公の安倍晴明)を除いてすごい精度です。時折真葛がごりごり食べているお菓子が「日本最古の唐菓子、清浄歓喜団」だったり実に心憎い。物語前半では安和の変の背景が「藤原氏にとって最後の他氏排斥作戦」となった理由、九条師輔の死後に起される理由と共に解説されますが本当に分かりやすい。また兼通、兼家の兄弟喧嘩と勝者になった兼家の描かれ方がいい。のほほんとした駄洒落を連発し内に秘めた剣を隠して動く姿はかなりリアル。「やれやれ、マジ入った貴族などシャレにならんわ」と嘯く姿は晴明も一目置くほどの図太さで、平安貴族の実像を感じられます。

 

風光る

新選組好き必見!幕末恋愛漫画!

舞台は幕末の京都。長州派に殺された兄の仇を討つため、主人公の富永セイは、性別を隠して新選組に入隊する。本懐を遂げたのちも、誠の武士となるために組のために尽力するセイ。いつしか志を共にする壱番隊隊長の沖田総司に恋心を抱くようになる。荒くれ者ばかりの浪士に揉まれつつ、セイは力強く成長していく。時代の波に揺られ、様々な事件を経て、ついにセイは沖田と想いをかよわせる。が、すでに沖田は労咳を患い、隊を離れて療養を余儀なくされた。沖田の看病のためセイも隊を離れ、闘病の末に沖田を看取る。沖田の意思のもと、最終的にセイは副長の土方と結ばれる。

一つ一つのエピソードを丁寧に書いているため、時代が進むのはとてもゆっくりです。史実を知っていると、どうしても最後は悲しい終わり方になってしまうので、新選組好きとしては、ゆっくりペースなのはありがたいです。そして、セイと沖田がなかなかくっつかず、なんとももどかしいです。それがまた少女漫画らしく魅力でもあります。ラストは中々の衝撃で、長く追ってきた読者になんとも言えない感情を残して終わったと思います。しかし、この作者の方の漫画は前作も読みましたが、やはり終わり方は何とも言えない感じなので、らしさかなと思います。私は、そういう後に残る漫画も結構好きです。

 

賢者の石

ルネサンスのヨーロッパを縦横に動く錬金術師ロレンッオの歴史探偵活劇

賢者の石・エリキサを求め、東はオスマン帝国、西はアルハンブラ宮殿まで闊歩する青年ロレンッオ。ボローニャ大学の医学生にして考古学者、さらに多くの言語を操るヴェネツィア共和国の外交官で共和国元首の甥、さらにかつてのキプロス王家の最後の王でもあった。幼い頃精霊や妖精と語り合っていたため、王子でありながら火刑にされかけたところを、魔術師ローザに救われた。その後姿を消したローザを探すためにエリキサを探している。赤い宝石を求め時にぺてん師まがいの事もやってのけるが、人外のものと近しい為か、時に時空を超えて古代ローマや中東、百年戦争の頃の謎解きにも巻き込まれる。

1話〜3話ぐらいの短編中編から構成されスッキリと読みやすいのが便利です。中身は本格的な歴史物で最新の説を多く組み込んで実に読み応えがあります。例えばロレンッオが訪れたイングランドは薔薇戦争後のテューダー朝。国王はヘンリー7世です。悪人の代名詞リチャード3世を、史実に沿って「律儀で誠実な叔父上」と描き、ヘンリー7世の妻、エリザベスの兄弟の謀殺の真相に迫るストーリーにしています。またヴェニスの商人をモチーフにした回では、当時のヴェネツィアの風習(良家の人間はマスクしないと外出できない)や外交工作はコルティジャーナ(高級娼婦=貴婦人以上の知識と教養が必須)の情報網の見せ所だったり、ユダヤ教徒への謂れなき差別などもビシバシ入っています。時空超えもあるので古代史も折り込まれ、いわば豪華な詰合せです。

 

源氏物語 あさきゆめみし

現代に帰ってきた源氏物語

平安の世に書かれたとされる『源氏物語』をよみやすくした現代版です。桐壺帝の第二皇子として平安の時代に埋めれた若君、光源氏こと源氏の君。そんな彼の初恋の相手は若くして帝の妃となった義理の母でした。彼女の死後、才色兼備の彼に訪れる出会い・その生きざま・人間関係と、若き日から大人に成長していき移り変わる多種多様な女性との恋愛模様を描いた作品です。同時に、光源氏に心を寄せる女性たちの十人十色な想いや嫉妬、切なさ、愛情表現の仕方も描かれています。一見きらびやかで優雅、誰もが羨むように見える光源氏の苦悩に満ちた人生に、多くの女性たちが巻き込まれていきます。

この作品の見どころは恋愛模様だけではなく、【平安】という現代では垣間見ることのできない当時の着物や祭事、暮らし様子を、白黒の漫画でも色が目に移りこんでくるかのように艶やかに描いているところです。作品には何人もの女性がでてきますが彼女たちの十二単やお召し物の柄や使っている小物ももちろん一人一人違って描かれており、その違いを見るだけでも絵巻を見ているかのように楽しめるかと思います。また、同時に当時の風潮や今との文化の違いも要所要所で描かれており、その現代との違いが生み出す女性たちの心情は平安だからこそのもので、現代の恋愛漫画とは違った観点で勉強にもなり最後の1ページまで一気に読んでしまえるような作品です。

 

ざ・ちぇんじ!

平安朝の男女入れ替わり顛末記

権大納言家の評判の「兄妹」、綺羅君と綺羅姫は、実は綺羅君が女で綺羅姫が男の「姉弟」だった。姉の綺羅君は北嵯峨に滞在中、全裸姿を貴族風の男に目撃される。その場しのぎの綺羅君の嘘を信じた男は、紫水晶の数珠を綺羅君に渡す。後に元服、出仕した綺羅君は、北嵯峨で会った男が帝だと知る。一方、北嵯峨の全裸の乙女が忘れられない帝は、綺羅君の妹(本当は弟)の綺羅姫がその乙女ではないかと考える。綺羅姫は帝の命令で、女東宮の世話係との名目で、尚侍として出仕する。綺羅中将(もと綺羅君)は右大臣の三の姫と結婚したが、三の姫は宰相中将と密通し妊娠してしまう。だが宰相中将が真に狙っていたのは綺羅中将その人だった。宰相中将に迫られ自分も妊娠したと思い込んだ綺羅中将は、かつて帝からもらった紫水晶の数珠と共に姿を消す。

綺羅君と綺羅姫の姉弟が、それぞれ本来の性別に戻るまでの物語です。原作は氷室冴子さんの同タイトルの小説です。さらにこの原作は平安時代に書かれた「とりかへばや物語」が土台になっています。平安時代に既に男女入れ替わりネタが存在したことに驚かされます。その一方でジェンダーや同性愛に関して現代的視点からの深読みも可能です。元ネタの「とりかへばや物語」は主人公が本当に妊娠するなど深刻なストーリー展開のようですが、本作品は終始コメディのノリで楽しく読めます。個人的に好きなシーンは、綺羅尚侍が女東宮に「自分は男である」と告白するシーンです。女東宮が結婚の約束をしてくれたことに対し、表面上は平静を装いつつも、心の中で大喜びしている綺羅尚侍の姿がかわいいです。

 

サラディナーサ

勇壮華麗なヒストリカルロマン決定版

16世紀、太陽の沈まぬ国として繁栄を極めるスペイン王国。その繁栄を大艦隊で支える、屈強なフロンテーラ一族の惣領として生まれたサラディナーサは、母譲りの美貌と父譲りの軍才で、将来を期待されていた。サラディナーサの亡き母に恋慕していたスペイン国王の執着を呼ぶ。国王は彼女を、自分の娘だと盲信していた。国王と一族の対立は激しさを増し、ついに避けられない悲劇が起きる!サラディナーサの婚約者であるドン・ファンは、王弟でありながら彼女のため祖国に背く決意を固め、スパイとしてフロンテーラに潜入していたマシューも、サラディナーサを愛しともに戦いに加わる。

史実を元にしながら、存分に架空の登場人物を大暴れさせている快作。とにかく登場人物が魅力的で、きら星のごとく男前が溢れていますが、群を抜いてヒロイン・サラディナーサがかっこいい!愛されるだけでなく、自分の意思がはっきりしていて責任感・自負心が強烈。大航海時代を体現するかのような、熱いヒロインです。敵役に設定されているスペイン国王も、人間的な深みを持って描かれており、とにかく無駄な描写が一切ない。絵柄の癖が強いので手に取るのをためらう方もいるかと思いますが、この情熱的なストーリーにはこの絵柄でないと負けてしまいます。迫力・魅せ方・見せ場どれをとっても、絵と物語がマッチした傑作です。

 

だんだらごはん

新選組の活躍をおいしいごはんとともに見ることができる物語! 

山口一(のちの斎藤一)は暇つぶしに訪れた道場で沖田宗次郎(のちの沖田総司)に勝負を挑むが負けてしまう。沖田は「うちの道場に入りませんか」と声をかけるが山口は断る。しかし山口を気に入った沖田は行く先々に現れ山口の至福の時間(美味しいものを食べること)の邪魔をして結局一緒に食べることになる。ある日いつものように一緒にご飯を食べていると沖田が「うちの道場の近藤先生が引きこもっている」と言うと山口はお見舞いに卵を買い沖田と【卵ふわふわ】を作り近藤のお見舞いに行く。そのことがきっかけで沖田にますます気に入られ振り回されていく山口。その後、新選組の中心人物となる土方歳三らに会い、激動の時代を駆け抜けていく!新選組の活躍はいつもおいしいごはんとともにあったと「食」の視点から新選組を描いている物語です!

新選組を「食」の視点から描いていくというスタイルが新選組を扱っているほかの物語とは異なっており、そこが一番の見どころです。また物語に出てくるご飯がどれもとても美味しそうに描かれており、1話に登場する【卵ふわふわ】などレシピが掲載されているものもあり実際に作ることができるご飯があるのもお料理好きの方は注目です!物語は新選組結成前からの話を斎藤一の視点で描いており、食の好みも性格も正反対な斎藤一と沖田総司がともに成長し新選組として活躍していく様子を【史実】と【食】を通して描かれた物語なので、この2つがどう融合し激動の時代に生きた男たちが描かれていくのかに注目です!

 

ちょっと江戸まで

江戸開府405年、平成の江戸時代コメディ!

今まさに、1人の老人が息を引き取ろうとしている。そんな今際の際で、もう1人隠し子がいることを思い出し、息子に面倒をみるように言い残して逝った。そんな訳で、江戸町奉行の貴晄は異母兄弟を保護することとなった。貴晄は側近である正成に子どもを連れて来るように命じる。子どもの名はそうびと言い、貴晄の幼少の頃にそっくりだった。そうびは自分が武家の血を引いていると知っていたが、なにかしてもらおうとは思っていないことを、正成に伝える。しかし、そうびは武家の人間として生きるのが向いていると正成は感じた。その後、正成に説得され、そうびは江戸へ向かうこととなった。

主人公のそうびは男の子にしか見えず、表情も少ないクールな子。けれど時折父親のセクシー遺伝子を発揮し、周囲を赤面させるイケメン女子です。坊ちゃまは女の子にしか見えず、ちょっとわがままな御三家の水戸徳川家の嫡男です。キャラ設定はいろいろと盛られていますが、この2人を中心に学校に行ったり、江戸の町で遊んだり、男女逆転の恋愛をしたり、物語自体はゆるくてほっこりするものでした。2008年のなんちゃって江戸時代ですが、江戸時代のことが丁寧に調べられ、作品に反映されています。江戸時代の風習や制度なども分かりやすく説明してくれるので、歴史に詳しくなくても楽しめます。

 

天堂家物語

令息と偽者、婚約者の秘密の契約の行方は…。

時代は大正、天堂家令息 天堂雅人は、鳳城家より嫁を迎えようとしていた。しかし、不可解な事件の多い天堂家を恐れた鳳城家からは、祖父の遺言で「人を守って死ね」と言われた らんを鳳城蘭の身代わりとして差し出してきた。偽者であると知っているのは、雅人と雅人の部屋の書生のみ。雅人は、らんに「俺を守って死ね」と誓わせる。庭の薔薇を観賞する会"観薔会"に招待されるのを前に、書生と時には雅人から作法などを叩き込まれる。観薔会では鳳城蘭として顔見せとなるが、偽者とバレないよう理由を付けて頭巾を被って出席した。これを皮切りに、天堂家の複雑怪奇な真相に迫っていく。

雅人のらんに対する行動が、初めはらんを試すような度の過ぎたイタズラにしか見えなかったけど、何度もそのような状況が繰り返されるうちに「あれ?雅人の心に変化が起きてるのかもしれない」と思うようになりました。ある場面で「声を出さなかったら褒美をやる。欲しいものを言ってみろ」のところでは、読んでいた私は雅人の罠にまんまとハマっていました。プルプルと震えながらも、雅人の指示を忠実に守る らんはとても強い女性だと思いました。とても複雑な天堂家ですがその真相が暴かれ、雅人とらんがどうなるのか、本物の蘭は登場するのかなど気になることはたくさんあるので最終話までじっくりと読んでいきたいと思います。

 

天は赤い河のほとり

タイムリープものの名作

明るい少女・鈴木夕梨は高校入学を控えた中学生。しかし、ある日突然水たまりの中へと引き込まれてしまいます。彼女は気付くと見も知らぬ場所にたどり着いていました。人々の服装も見たことがないもの。言葉もわかりません。夕梨がたどり着いたのは、古代のヒッタイト帝国の首都ハットゥサだったのです。なぜ彼女がそこにくることになったのか。それはハットゥサの皇后ナキアが、最大の目障りだったカイルを呪殺するための生贄として呼ばれたのでした。ナキアが放った私兵から逃げ惑ううちに、夕梨はある青年と出会います。彼とのキスで言葉がわかるようになった夕梨。その彼こそが皇子・カイルでした。カイルは夕梨を守るため、側室であるということにし、自身の宮で守ることに。しかし、時代の荒波がカイルを襲い、夕梨はそれに立ち向かっていきます。

現在連載中の「夢の雫、黄金の鳥籠」と地理的には同じ舞台の作品です。時代も王朝もまったく違うため、物語の展開も異なっています。夕梨がとにかく積極的。そして正義感が人一倍強いのが魅力です。
彼女は自身の正義を貫くために戦いへ身を投じることも。やがて国民から「ユーリ・イシュタル」との名で親しまれるようになります。イシュタルは戦いの女神のこと。物語の設定上、戦闘シーンが大変多いです。それも国同士の大きな戦争ですね。大変迫力のある展開が続き、その中で奮闘するユーリの姿が素敵です。戦闘シーンも見どころですが、彼女をとりまく人々との日常風景も描かれています。物語の静と動がうまく絡み合い、飽きずに読みすすめられる作品です。

 

とりかえ・ばや

生きたいように生きること

この作品は、平安時代の古典 とりかえばや物語をさいとうちほが漫画家したもの。女として生まれた沙羅と男として生まれた睡蓮の兄弟は、お互いに女らしくなく男らしくなかった。それが2人にとって自然で親と周りを悩ませていた。とりかえばや (とりかえたい!)と。そのまま本人の意向で成人の儀は沙羅双樹の君、睡蓮の姫として性を逆で行う。都での仕事も帝や周りの同僚を偽りながら働いていく2人だった。そのうち帝に憧れを持ちはじめた沙羅、帝を欺きながらも惹かれていく恋心は沙羅をどんどん女性として美しくする。男装しても隠しきれぬほど美しい。そしてついにプレイボーイで評判の同僚に沙羅が女ではないのかと疑われてしまう。

平安時代、帝を欺くことは大罪。それでも2人の力は沙羅は男性として、睡蓮は女性として発揮されます。それは幼少期から好きを極めて培ったもの。その仕事ぶりに周りも高く2人を評価します。同じ女性として力強い沙羅はとても魅力的です。また男装していながらも華奢で美しく帝を恋い慕う気持ちをひたすら隠してお仕えする姿が健気で好感を持てます。そして王子様、帝は少女漫画の王道イケメンでちょいちょいグイグイくるのですが、沙羅が隠していたのは男装していたことだけでなないので帝も戸惑い悩み苦しみます。平安時代に現代にも通用する小説があったのかとキュンが足りてない大人の女性に贈りたい作品です。

 

なんて素敵にジャパネスク

平安時代のJKは今日も大忙し!

主人公は16歳の内大臣家の長女・瑠璃。適齢期を過ぎているが浮気性の父親に反抗し、瑠璃は縁談を断り続け独身主義を貫いていた。そんなある時、幼なじみで一つ年下の高彬との縁談話が持ち上がり、他の貴族に嫁ぐよりも気心が知れている高彬との婚姻の方がましと婚姻を了承することに。そして、初夜の日を迎えた瑠璃だが、急遽ある事件が起こり、宮仕えをしている高彬は事件へと駆り出される。一方で瑠璃は内緒で事件を解決するため、家を飛び出し女房として潜入する。そんな中、出会った鷹尾と協力して真相に近づく瑠璃だが、そのせいで命を狙われることに。果たして、瑠璃と高彬は無事に初夜を迎えることが出来るのか?!

源氏物語や枕草子が好きな人は絶対にハマる世界観です!平安時代ではありえないくらい瑠璃姫がアクティブで何度も危険な目にあいます。世継ぎをめぐって陰謀が繰り広げられており、ドロドロとした場面も時々ありますが、謀反を起こす方の気持ちを考えると憎み切れず、周りの嫌な大人たちに利用されてしまうのが切ないところです。また、登場人物たちの表情も非常に豊かで、感情移入して主人公を応援したくなります。瑠璃姫の恋愛模様も描かれていますが、源氏物語同様にかなり入り組んでます(笑)。瑠璃姫の周りにはいつもイケメンがいますが、それぞれ個性が違うので推しのイケメンが見つかること間違いなしです!

 

はいからさんが通る

画力の高い大正ロマンに魅了!

時は大正。花村紅緒は手も付けられないおてんばでハイカラな女学生。そんな紅緒には、生まれながらの許嫁がいました。その許嫁は、笑い上戸の陸軍少尉・伊集院忍。親の決めた相手なんてと紅緒は忍に嫌われる行為を繰り返しますが、懐深い忍に紅緒はだんだん惹かれていきます。しかし、忍は九州に転属になり紅緒は、忍の祖父母と一緒に忍の帰りを待ちますが、忍の訃報が届くのでした。紅緒は、忍の祖父母と屋敷を守るため、おんなだてら出版社で働くことを決意。しかし、亡くなったと思っていた忍が帰ってきて、それでも忍と紅緒はある事情により結ばれませんが、そこへ関東大震災が起こるのでした。強く優しい紅緒が巻き起こす大正ロマンコメディ。

見どころは後半。前半はひたすらコメディです。しかも、シュールでかなりハイクオリティなセンスのコメディ。そこから後半は、シリアスなラブストーリーへ一転。特に、関東大震災の前あたりからラブが加速していきます。紅緒は、大正時代には珍しいハイカラ娘でありながら、恋愛に対しては大正の価値観を持っている女性だと思います。そのあたりは慎ましやかです。そのせいで、紅緒と忍が結ばれるまでの時間が長く、楽しめます。今の漫画家にはあまりいないくらいの繊細で美しい画に加え、物語も飽きない構成になっています。今なお、映画化される理由が良くわかる作品です。

 

バビロンまで何マイル?

ボルジア家とルネサンス時代のイタリアの歴史がわかる!

仁希と友理は幼馴染です。子供の頃、二人は池で溺れていたグノーシスを助けます。グノーシスは恩返しに指輪をくれます。その指輪のせいで、二人は色々な時代にとばされます。時代は選べません。いつ戻れるかもわかりません。二人はルネサンス時代のイタリアにとばされます。そこでルクレツィアに出会います。彼女はツェーザレ・ボルジアの妹です。ツェーザレ・ボルジアはルネサンス時代、分裂状態のイタリアを制覇する野望を抱き、そのために暗殺を繰り返し、妹ルクレツィアを政略結婚の駒として使います。仁希と友理は、ボルジア家の客人として、血塗られたボルジア家の歴史の目撃者となります。

見所は、仁希と友理のやり取りがとても面白い事と歴史の勉強になると言う点です。それに登場人物が皆、美形です。仁希と友理は高校生です。仁希は女の子ですが、話し方が爺さん臭く、リアリストです。友理は男の子で、両親が国際結婚のため、日本人離れしたルックスです。はちゃめちゃな仁希を友理が冷静に助けます。ボルジア家について、この漫画でおぞましい秘密を知ることができます。ボルジア家に関わり、レオナルド・ダ・ヴィンチも登場しますし、仁希が町でオランダの人文主義者にして「愚神礼賛」の作者エラスムスに出会います。面白く、しかも歴史の勉強になる漫画です。

 

薔薇王の葬列

シェイクスピア作品を大胆アレンジ!中世イングランドを舞台に描くダーク歴史ロマン!

白バラのヨーク家と赤バラのランカスター家が王位をめぐって血みどろの争いを繰り広げていた中世のイングランド。ヨーク家の息子リチャードは自身の体にある大きな秘密を抱え、忌み子と呼ばれながら鬱屈した日々を送っていた。唯一自分を認めてくれた父を玉座に押し上げるため、進んで戦いに身を投じていくリチャード。イングランドを二分する戦いが泥沼化する中、リチャードもまた自身の秘密と両家をめぐる愛憎劇に翻弄されていく……。シェイクスピアの名作『リチャード三世』を大胆にアレンジ。古典の名作を美麗な作画で現代によみがえらせた、歴史大河ロマン!

シェイクスピアの名作中の名作『リチャード三世』を原案に、大胆にアレンジしたこちらの作品。と、言われるとなんだか小難しそうですが、ヨーク家とランカスター家の豪華絢爛のドロドロバトルは古典に詳しくない読者が読んでも読みごたえ抜群!また主人公リチャードをはじめ、登場人物は全員個性派ばかり。そんな彼らが欲も信念もむき出しにしてつむぐストーリーは展開が読めず、読み始めると止まらなくなります。一方で鬱屈した主人公リチャードと運命的な出会いを果たした純粋な青年ヘンリーがはぐくむ友愛は、ドロドロストーリーの中の清涼剤。運命に翻弄されながらも惹かれ合うリチャードとヘンリーの関係がどうなるのかも大きな見どころとなっています。

 

紅匂ふ

元芸姑さんの書籍が原作。リアルな祇園の物語

舞台は京都・祇園。舞妓の咲也は、置屋「石橋」の跡取り娘です。しかし、実は彼女は石橋とは血縁関係はありません。咲也の本名は咲子。幼名は珠子です。珠子として山科で暮らしていた頃、石橋の女将に見初められ、幼くして養女となったのです。石橋には「たまこ」という名の人物がいたため、名を「咲子」に改めることに。そして咲子は幼い頃からの修練の末に、咲也として店出しするのでした。咲也は順調に人気を伸ばしていきますが、その人気にやっかみを持つものも。さまざまな「いけず」と対抗しながら舞妓としてトップの位置を保ちます。しかし、彼女にはひとつだけ苦手なことがあったのですが……。

祗園甲部にて活躍しておられた岩崎峰子氏の原作が元となっています。原作では芸姑時代がメインとして描かれていますが、本作では舞妓の姿が大半。やはり舞妓の姿は華やかで愛らしいものですし、映えを狙っているのでしょう。咲也が日々努力を重ねる姿がいじらしいです。後半からはある俳優さんとの恋も描かれています。原作ではこの辺りは実在する俳優さんの名を出しており、結構ドロドロしています。しかし、本作ではフィクションの人物となっているのでドロっとした感じが若干マイルドに。原作者がいるということで、祇園のちょっとした細かい風習なども描かれている点が見どころです。

 

マダム・プティ

おてんば娘、フランスで愛の花を咲かせます!

父親が借金を抱えたため16歳の万里子は45歳の俊と結婚することに。小さい頃から俊のことが大好きだったため、政略結婚でも嬉しかった万里子。しかし、新婚旅行でフランス・パリへ向かう途中、乗っていた列車・オリエント急行の中で俊が遺体となって発見される。しかも、大雪のせいで列車は立ち往生。絶望の底へと突き落とされた万里子だったが、俊が他殺なのか、自殺なのか、亡くなる前に誰が関わっていたのか、万里子は夫の死の真相を探るために車内で犯人捜しを始める!車内で知り合ったツンデレのインド人・ニーラムや乗客たちが万里子に協力を申し出てくれるのだが……。

「マダム・プティ」は1920年のフランスを舞台にした、主人公・万里子の恋愛と成長を描いた作品です。1巻でいきなり主人公の夫が亡くなると言う衝撃的な幕開けをする漫画で、読んでいて絶句しました。天真爛漫でおっちょこちょいな万里子ですが、芯の強い女性で夫の死の真相を調べ始めます。そして真実を知るのですが、それにまた絶句……私だったら心が折れています。万里子は夫の俊さまが大好きで、ニーラムの気持ちになかなか気づかないのがもどかしいです。また、ニーラムも重い出自と過去を背負っており、読んでいて胸がしめつけられました。恋愛ものと時代もの、ミステリー、歴史もの要素もあって、少女漫画と一言で言うには、ちょっともったいない作品です。

 

雪花の虎

苦手でもぐいぐい惹かれる歴史漫画

人気の戦国武将、上杉謙信の「女性だった説」を「女性」と断定して、謙信の生涯を描いた作品です。毘沙門天の生まれ変わりとして産まれた謙信は、父の強い希望により男として育てられます。幼少期より親元を離れての寺修行であらゆる事を学び、父からは戦を学び、たくましい男顔負けの表向きは男な姫武将として育ちます。やがて父が病に倒れますが、本来家督を継ぐはずの年の離れた兄は病弱で戦嫌い、謙信が女にして元服し、父のあとを継ぐことに。そして生涯のライバル武田信玄との意外な出会い…。女であるが故の苦労をいくつも乗り越えながら、その強さ、頭の良さ、優しさで次第に大きな大きな国の重要人物となってゆく謙信の波乱万丈な生涯を笑いを大いに交えて描かれています。

上杉謙信は女性だった!という設定に、歴史が苦手でも「面白そう」と惹かれるものがあります。難しい言葉や設定が理解できるか?入っていけるか不安でしたが、そんな歴史苦手な方のために、「作者のティータイム」として、難しい説明部分には要所要所にページの下半分は、言葉を噛み砕いて「要は県知事みたいなもの!」と漫画形式の説明ページが多数出てきます。そっちを読めばとてもざっくり簡単に理解できます。多少の創作や作者の想像部分も出てきますが、多くはこんな文献があって、それから察するに女性だったとしか思えないというエピソードがたくさんあり、読んでいてすっかり「女性説」を信じています。

 

夢源氏剣祭文

読む画集と言っても過言ではない美しい絵巻

都が平安京に移され、棄都となったかつての長岡京。そこに母娘が訪れます。しかし、母親は衰弱しており死の淵に。娘・茨木は、そんな母に水を与えたいと枯れた井戸のそばで穴を掘ります。その想いは強く、爪を剥がしてしまうほどでした。茨木の思いも虚しく、すでに母は息を引き取っていました。途方に暮れる茨木に背後から声がかかります。それは長い年月を経て鬼となった者でした。彼に噛まれた茨木。それは後に大きな影響を彼女に与えることになります。母は、都に茨木の父がいると言い遺していました。都を目指しながら、様々な人々と出会う茨木の旅が始まります。

皇なつき氏の圧倒的な画力で紡がれる物語です。原作は小池一夫氏。恐らく、茨木童子をモデルとしているのかと思います。本作の魅力は、なんといっても通常の漫画技法から解放された表現。通常なら台詞がついているシーンでそれがなかったり、台詞があっても吹き出しがなかったりします。そして絶妙なコマ割り。登場人物がコマを外れて動くことで、躍動感が生まれています。物語の中で茨木は鬼となってしまいます。しかし、悪をなすものではなく、無邪気に空を飛ぶことも。そのシーンも鮮やかで大変魅力的です。全体的に大変美しく「漫画」というカテゴリから「ストーリーのある画集」の域に達している作品です。

 

夢の雫、黄金の鳥籠

史実を元にしたキャラクターが魅力的

オスマン帝国の皇帝スレイマン1世と、後にその正式な后となるヒュッレムの物語です。ヒュッレムは、北の国でタタール人によって誘拐され、奴隷の身に。そこで彼女を買ったのは、イブラヒムという男性でした。彼から与えられた環境で、少しずつ才を伸ばしていきます。イブラヒムの後宮にはいると思っていたヒュッレムでしたが、彼女は皇帝に献上されることに。戸惑う彼女は、そんな中でも前を向いて進むことを諦めず、やがて寵姫となっていきます。しかし、後宮という世界では「出る杭は叩かれる」もの。一見華やかな後宮の中で、ヒュッレムはいかにしてその地位を保ち続けるのか。ハラハラドキドキ。そしてロマンスもある魅力的な作品です。

史実を元にしている作品ですが、それに縛り付けられることなく鮮やかに描かれているのがいいです。
ヒュッレムがとにかくたくましくて、後宮の他の女性たちの陰謀なども巧みにかわすところがかっこいいんですよね。ちょっとおとぼけっぽく振る舞うのもとても粋でいい感じ。そしてこの作品の最大のポイントである、イブラヒムとのロマンス。ヒュッレムは皇帝の後宮に住む女性ですが、心のなかで想っているのはイブラヒムなんですよね。しかし、事態はそうそううまくはいかず……。このふたりのロマンスが物語に大きく影響を与えていて、切なくもじれったくもある展開になっています。個人的にはスレイマンの妹、ハディージェの恋も気になるところ。彼女はこれからどうなっていくのかなぁ、と気になります。

 

LEGAの13

めくるめく、ヴェネチアンロマンス!

舞台は16世紀後半のヴェネチア。薬師見習いのレガーレはひそかに錬金術の研究をし、金属を黄金に変えることができるという賢者の石を探している。日々女性を口説いて一夜を過ごす恋多き青年。ある日、黒魔術をしている疑いで彼の父が捕まってしまう。父の身代わりになるレガーレだが、そこにヴェネチアを統べる元首(ドーチェ)が現れる。自分の元で「黄金を作れ」と命ずる。命は保証されるが自由を奪われることとなる。しかし、彼がそれに甘んじるわけもなく…過酷な運命の中、最愛の女性、かけがえのない仲間達と出逢うレガーレ。そして、彼は驚きの自分の出生の秘密を知ることとなる。

主人公のレガーレは女好きで根性無しだけど、自然と周囲に人々を集めてしまう魅力がある青年。その中には、幽霊の少女クラリーチェ、胡散臭いけどキレ者の神父、レガーレを慕うピエロの少年、若きトルコの貿易商など、個性豊かな面々が。レガーレと仲間達が紙上の美しいヴェネチアの中に生き生きと描かれています。歴史の大きなうねりの中には数々の恋愛模様があり、オムニバス形式で綴られるロマンチックな恋愛の数々は時に切なく、胸に響きます。全六巻ですが、レガーレ達と共に長い時を過ごしたかのように感じさせてくれるヴェネチアンロマンに溢れた作品。

 

最後に:歴史ものの少女漫画おすすめ34選

個人的なオススメは「アシガール」です!

歴史と恋愛が合わさったストーリーで、一度で二度楽しめる作品です!

他にも気になる漫画があれば是非チェックしてみて下さい!

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